2007-02-28

飲み会にて

3ヶ月前のことだ。後輩がキラキラとした目で「就職活動怖いけど楽しみっス」と語っていた。

「俺、すごく雑誌とか本が好きで。ずっと出版社に勤めたかったんです。目指してる企業もあって!目標もあるんです!だから周りの人が怖いって言ってても実感ないって言うか……昔から目指してた目標が近付いてきたと思うと、怖くないんです」

もうこの時点で私は頭の角度が45度くらい下を向き、視線は居酒屋の汚い床をなぞるしか出来なかった。しかし、勇気をふりしぼってこれだけ聞いた。

「その目指してる出版社……どこ?」

彼は自信満々に答えた。

講談社です。おれ、すごくマガジンが好きで、愛してると言っていいほどです。誰にも負けないっすよ」

泣きそうだった。

2chの出版志望者のスレテンプレ(下を参照のこと)を飲み屋で朗読してやりたい位だった。けれどそれは出来ない。彼の熱意は本物なのだ。本物の熱意を持つ人に、そんなことをして何になるだろうか。

頑張れ後輩よ、今あなたはどんな気持ちでいるだろうか。もし本当に講談社に入社できたなら、惜しみない拍手を送ろうとおもう。けれどきっとそれは無理だろう。ただ単に、確立の問題として。

十月 大手の採用ページが順次開設される。

   三年生の心をぐっと惹き付ける。それを冷めた目で見る二週目人。

十一月 大手三社の刊行物の話題。だいたいファッション漫画

    ファッション誌やりたーい!!なんて発言も飛び出る

十二月 大手三社の選考内容や批判から、今の本の不満まで

    白熱したりしなかったり、大暴れされたりする。

一月 エントリーシートの話題 

   かけねー、なんだこりゃ、ふざけんな、の声

二月 まにあわねー、だの、締切当日だね、書かなきゃ、とか

三月 キター!、ダメだった、逝って来るが流行語大賞取れる。

   筆記試験の話題も

四月 勝組、負け組、明暗くっきり。面接の話とか。目が大手三社から離れる

五月 大手三社以外の出版社の話題が多くなる。選考どうだったよ、みたいな探りあい。

   これが十月くらいまでつづく。

   十月に近づくにつれて「周流」「ニート決定」「無い内定」「時間よ戻れ!」

   が合い言葉になったりならなかったり

十月 ふりだしにもどる

(1)さっさと小学館ESを書かないと♪あっ集英社ももうすぐだw

(2)大手の選考あんまり進まなかったな…準大手ならいいところまでいけるかも。

(3)まだ中堅でもいいところあるじゃん医学系とかなら金もいいし♪

(4)まずは出版業界に潜り込まないとな…。あっ!採用情報みっけ!

(5)マジで受けられるところがなくなってきた…主婦生に落ちたら就留か…   

(6)新卒募集じゃないところにも履歴書を出すか…卒論どうしよ。

(7)就留するか、既卒で受けなおせばきっと大丈夫さ 。

(8)版元や正社員にこだわる必要はないか…俺よりダメな奴はいっぱいいるさ

(9)この書き込みは3年生か…無理無理、小学館なんて受かんねえよ

(10)出版社を目指してたから就活失敗したんだ・・・。他の業界トライしてたら超一流企業から内定貰ってたよ。俺なら。

  • 2月にこの日記を書いた。 http://anond.hatelabo.jp/20070228032425 ここに出てきた後輩は、中小出版社から内定を貰った。 そうか、人間熱意でなんとかなる時もあるのだな。 大勢だけを見て、...

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