朝夕が寒くなってきて、昨日は目覚ましより早く目が覚めた。
布団からはい出し、身震いしつつ階段を下りた。
ただ一つ父親が私のことを「おにいちゃんっ!」と呼んでいた以外は。
「あっ、おはよう、おにいちゃんっ!」
固まった私を不思議そうに眺める父、政治家の汚職を伝えるニュースの声、
私は状況が掴めなかった、というか完全に思考停止してしまった。
「ねぇー、どうしたのぉー、ねー、おにーちゃん?」
亭主関白を絵に描いたような人だ、冗談でもこんな事をするような父ではない。
あ、そうか、夢か、起きたつもりがまだ夢の中なんだ、そうかそうか。
夢にしてもなんてタチの悪い夢だ、やけにリアルだし。
「もぉー、おにいちゃんっ!だいじょうぶー?」
50も半ばを過ぎて髪も少し薄くなってきたおっさんが、純粋な目で私をのぞき込む、
????、意味がわからない。どう見ても夢ではないらしい。
息子に対してならまだしも…まだしもなのか??まぁまだしもとしても、
こちとら女だ。ハタチ過ぎた娘に何が「おにいちゃんっ!」だ?
何だ元気っ子の象徴みたいな語尾の「っ!」は?
「もー、まだ寝ぼけてる??、おにいちゃんったら!」
まったくもって困り果ててしまい、助けを求めようと母親の方を見やる。
「眠たいなら顔でも洗ってきなさい。」と…
えー!!普通ー!?もはやどこから突っ込んでいいのかすらわからない。
「う、、うん」
と、かろうじて言えた。落ち着こう。うん、少し取り乱し過ぎてた。
落ち着いて考えればたぶん何か理解できる、、はず、きっと。
とりあえず、このよくわからない状況から距離をおくため洗面所に向かった。
数日前の朝の話 朝起きて、トイレに行こうとしたら洗面所にお姉ちゃんがいて、 私を見るなり、目を色を変えて、いきなり 「ねぇ、私のこと何て呼ぶ?何て呼んでる?!!」 って迫って.