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2008-12-24

朝日新聞GLOBE(12/22) 金融危機中央銀行 [その3]

その1 http://anond.hatelabo.jp/20081223235800

その2 http://anond.hatelabo.jp/20081224002406

(G-3面右上)

「国際協調」に距離を置く

マネーが国境を超えて飛び回る中、主要国の中央銀行にとって欠かせないのは、情報の共有化だ。

金融危機が深まってから、白川がFRB議長のバーナンキECB総裁のトリシェらと電話会議を開く機会も増えた。米大手証券リーマン・ブラザーズ破綻前には、バーナンキから白川に状況報告の電話が入った。

ただ、白川には、情報の共有化と、世界中央銀行金融政策の決定で足並みをそろえる国際協調とは別次元の話という思いが強い。

10月の主要7カ国財務相中央銀行総裁会議(G7)の直前、中央銀行のトップたちは連絡を取り合いながら協調利下げに踏み切った。日銀は、利下げはせず、欧米の利下げを「支持する」という発表にとどめた。

欧米中央銀行から日銀に対し「協調行動に加わってほしい」という要請があったわけではない。日本金利がすでに低いことや、今回は欧米中心の金融危機という判断からとみられるが、「彼らはひと息つきたいのだろう」と本音を推測した日銀幹部もいた。日本との金利差が縮むと、欧米通貨が安くなり、欧米企業が輸出しやすい環境になるからだ。

欧米はその後も、利下げを繰り返した。日銀10月末に利下げを決めると、市場には「日本もやっと欧米との協調に踏み切った」という見方が広がったが、白川は「世界的な不景気の中で、利下げの方向が一致しただけ」とそっけなかった。今月19日の利下げも、FRBの大幅な利下げのわずか2日後だったが、白川は「国際協調」という言葉を使っていない。

白川が「国際協調」「政策協調」という言葉を好まないのは、過去に苦い経験があるからだ。

日銀1985年プラザ合意以降、「国際協調」の名のもとに米国から圧力を受け、長期間の低金利を強いられた。これが土地株価バブルに結びつき、その後の深刻な不況につながった。

「政策協調は、大国が自己利益を押しつける際の論理として使われることが多い」。白川は2000年香西泰(現・政府税制調査会会長)との対談でこう語っている。

国益確保の「隠れみの」に協調を演出することは珍しくない。国際社会リアリズムに比べ、日本の「協調歓迎論」はナイーブすぎないか。白川には、そんな気持があるようだ。■

 
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