はてなキーワード: ネットワーク効果とは
この世の中、「持てる者がますます富む」という法則が支配する分野があります。
ベータを駆逐したVHS、キーボードのキー配列であるQWERTY、そしてパソコンOS界を圧倒するWindows、
すべてデファクト・スタンダードを確立した者が、その技術的優劣に関わりなく、市場を支配しています。
これを、経済学者のブライアン・アーサーは"収穫逓増の法則”とよんでいます。(M.ミッチェル・ワールドロップ『複雑系』新潮社)
デファクトスタンダードの洗礼
その後、マイクロプロセッサー市場で、アメリカに先を越された日本企業の中で、はじめて日本産のマイクロプロセッサーを開発したのはNECであった。
インテル製のチップ「8080」をリバーシング技術で改良したNECは「μPD-753」を設計する。
これは「8080」よりも高性能なのだが、この時の改良がもとで互換性を失い、コンピュータ業界では売れなくなってしまった。
デファクト・スタンダードの重要性を痛いほど認識させられることになった。
「ですから、互換性を出すためには、改悪しなきゃいけなかったんですよ。
ですから、私は技術者に「いやあ、せっかく改良したのを、まことに申し訳ないけど、
これじゃ買ってもらえないから、改悪してくれ」って頭を下げた」
(中略)
「そう。技術的に優れていることと、それが売れるというものは違うとね」
理由は、「牛歩戦術が出来なくなるから」というものでした。
牛歩戦術は、決議投票の際に時間を掛けることで、棄権票を誘発したり決議投票を途中で打ち切らせたりするといった野党の抵抗戦術です。
TVで話題になった作品が強いのは、要は「みんなが観てるから」って面もある。まあ、作品としての質がそもそも違うって話もあるが。ニコニコ上では、話題になる作品は数本に収束していく傾向が強い。「歌ってみた」の人気が数人の歌い手に収束していったのは記憶に新しいと思う。初期値がある程度無いとニコニコ上で人気を得るのは困難で、だから自演が流行る。
「みんなが観てるから」という理由で特定のテレビ番組の視聴率が上がる、というのはよくある現象だけど、ニコニコではそれが急カーブで起きる。それだけ、ネットワーク効果(クチコミ)に依存したコミュニティだとも言える。
結論を言えば、TVに依存しているのは、いまだにTVが国内最大のメディアだから、というだけに過ぎない。この強みは歴史と、資本力と、許認可事業という既得権益でもたらされたものなわけで、ビジネス的な手法が優れているとかメディアとして面白いとかそういう話じゃない。だから、個人的には「TV凄い!」とは感じない。
TVのような中央集権的な手法は、みんなが同じものを見るから、ネットワーク効果が強く働く、という特性はあって、ここはYouTubeとの大きな差異。YouTubeに「みんなが観ている動画」は無くて、だからユーザ間で盛り上がろうという雰囲気に欠ける。ニコニコはランキングがあるから一ヶ所に人が集中して盛り上がる。(YouTubeはニコニコと違って、インフラであってコミュニティじゃないから少し違うけどね)
また、扱い方も収束していく。『魔理沙は大変なものを??』はMAD化されるが、『きしめん』や『陰陽師』『粉雪』『真っ赤な誓い』は同じくらい人気と知名度があってもMAD化されない。作りづらいとかつまらないとかではなく、やってる人がいないから。これは人間のアイデアが、既存のものの改変方向に強くて、完全な新規発案に弱いって辺りに要因があると思うんだけど。