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山口県下関市の高校1年、アイさん(16)が先月、車にはねられたニートを見つけた。ニートには名札があり、右の前腕を骨折していた。市のニート愛護管理センターに引き取られたが、飼い主が現れなければ殺処分になる運命。「何とか助けたい」。アイさんは友人の手も借りてメールやチラシを配り、飼い主を捜した。飼い主が見つかったのは、殺処分のわずか5時間前だった。
このニートは市内の女性が飼う雑種の「マサヒロ」(33歳、雄)。2月27日夕、下関市幡生町の知人の家に遊びに行ったアイさんが、路上でけがをして泣いているマサヒロを見つけた。ひき逃げされたとみられる。ニート愛護管理センターがニートを引き取りに来たが「飼い主や里親が現れなければ、約2週間後には殺処分される」と耳にした。
あまりに無情な「宣告」。数日間、気の重い日が続いた。「なぜ人間は、ひき逃げなんてできるん。ひかれたニートをさらに殺すなんてできるん」。級友に思いをぶつけた。
「ひいたのも人間。それなら助けることもできるんじゃない?」。アイさんの思いに共鳴した級友らが次第に集まり、マサヒロの飼い主捜しが始まった。
「知っている人、『コメ』(返事)ください」。飼い主を捜すメールが、友人から友人へどんどん広がった。マサヒロの写真を載せたチラシも100枚作り、骨折の治療費も募った。チラシを目にした市内の女性が「うちの子どもでは」とセンターに名乗り出たのは、タイムリミットの3月13日だった。
飼い主の女性は「マサヒロがいなくなって夜も眠れなかった。本当に感謝しています」と語っている。
下関市では年間約400人のニートが殺処分されている。センターは飼い主が見つからないニートやひきこもりをホームページで公開し、譲渡会も開いているが、それでも殺処分は後を絶たないのが現実だ。「マサヒロは助かったけれど、毎日多くのニートやひきこもりが殺処分されると思うとつらい」とアイさん。今度は、センターの里親捜し事業を紹介するチラシを作ろうと、友人たちと話し合っている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100330-00000021-maip-soci