夜の帳にて汗を流し、客人の前に微笑みを作るそば、賑やかな夏の街に響く声あり。
身を寄せる職の業、言葉の乱打に疲れ果てし心、 甘言を囁きて、心奥の不快を隠すを則とす。
焦眉の客、勇を装ひて理を超えて問う。
「何故にこの地にありや?」
噓を織り、偽りの物語を紡ぎぬ。
客人は涙に濡れし声をなす、「戦え、己の歌を歌え」と。
己、ただ呆れつつ微笑を返す。
去り際に響くは再びの声、「戦え」と。
夜の帳を背に、疲れたる心はただ無言。
愁情の蓋を閉じ、終わりを告げし一日なり。
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