くたびれた電車の中でひとり
目を見開いた
物書きが人を殺した
今夜は晩餐だ
お気に入りのステーキ屋に駆け込み
一番美味いリブロースを頼む
寒空を忍んで歩んだ褒美は
肉薫る極上の焼き加減
さあ ご馳走だ
慣れない銀食器を不器用に使い
ひとくち目を頬張る
口に溢るるは血肉の味
生者へ捧ぐ死者の残滓
添えしポテトは遺恨の紙集
啜るスープは悲痛の悔涙
ああ 楽しいな
千数百円程度の支払いを終えると
小躍り気味に店を出る
今夜 電子の海は赫く燃ゆる
ありがとう この世に生を受けてきてくれて
私の糧となってくれて ありがとう
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