2024-01-29

くたびれた電車の中でひとり

目を見開いた




物書きが人を殺した




今夜は晩餐だ

お気に入りステーキ屋に駆け込み

一番美味いリブロースを頼む

寒空を忍んで歩んだ褒美は

肉薫る極上の焼き加減




さあ ご馳走だ




慣れない銀食器不器用に使い

ひとくち目を頬張る


口に溢るるは血肉の味

生者へ捧ぐ死者の残滓


添えしポテトは遺恨の紙集

啜るスープは悲痛の悔涙




ああ 楽しい




千数百円程度の支払いを終えると

小躍り気味に店を出る

今夜 電子の海は赫く燃ゆる

ありがとう この世に生を受けてきてくれて

私の糧となってくれて ありがとう

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