2015-04-17

道ばたにこっそり落ちている見てはいけないもの

心が震えるような恋って、

道ばたにぽろっと落ちていて、

うっかりしていると、

つの間にか拾ってしまっている。

人は年を取ると、なるべく道ばたに落ちている恋を、

うっかり拾わないように注意して歩くようになる。

つまずいて転ぶと、なかなか起き上がれないし、

つまずいて膝を擦りむくと、

一生消えない傷になったりする。

治り辛い年齢だからね。

たまによそ見して歩いていて、うっかり道ばたに落ちてる何かを見ようと、

腰をかかげて、よっこらしょっとと見つめてみると、

ああ、

こんなところに、

こんなに綺麗な花が咲いていたんだなって、

改めて気付いて、

この年になるまで、

ずっとその道と、そこにあるものに気付けなくて、

今この道を歩き出したから、今だから見つけられたんだって思えて、

見つけたのが遅すぎたんじゃないかと、

自分の歩いて来た道を悔やんだりする。

もし私が、この花を摘んで帰る事が出来なかったとしても、

誰かが、またこの花を見つけて、

こんどは上手に摘んで、そしてその子の家で、

美しく咲き続ける事が出来たなら、

たとえ私が今この花を摘む事が出来なくても、

花は咲いた意味があったのだと思う。

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