美しいというのは罪なことだ。
本当に美しい言葉を読むと自分自身が書き変わる。
あるいは変わらずにはいられない。
それは一瞬のことでしかも不可逆だ。
でもそんな美しい言葉を醜いと言う人ばかりなんだ。
世界はこんなにも美しい言葉であふれているのに。
魂から吐き出した言葉はどれもこれも美しい。
気が狂うほどに愛おしい。
怒りで震える手で書いた言葉は美しい。
泣きながらそれでも紡いだ言葉だけが美しい。
どうせ文字の並びに大した意味はないんだ。
どれだけの心の震えをこめたのか。
上辺の言葉も借り物の言葉も勘弁だ。
涙は目で見えるけど心は見えない。
だから心は言葉を紡ぐ。
それはただの水滴だ。
本当の涙は言葉なんだ。
そうやって見えるのは醜い部分かもしれない。
人に嫌われる部分かもしれない。
だけどそれは美しさだ。
人の心の本質だ。
儚さ。
切なさ。
どんな言葉で言ってもいい。
それこそやがては消えるさだめの人の命。
ツイートシェア
ようこそ ゲスト さん