「間違いが五つある」と書かれた一枚紙の間違い探しがある。
しかしながら、どれだけ注意して見比べてみても、二つの絵の間に食い違っている部分は四つしかない。
本文が間違っているんだな、と気づいてから、答案者はふと考える。
確かに「間違いは五つある」のではないだろうか、と。
二つの絵の間にある四つの間違いと本文に記述された一つの間違い。合わせて五つの間違いなのではないだろうか、と。
仮にそうだとするならば、本文は正しいことになる。「間違いが五つある」との一文は、紛れもない事実であるということになる。
だがそうしてしまうと、問題が生じる。
二つの絵の間で食い違っている部分は四つしかないのだ。紛れもなく正しい事実であるところの本文と食い違ってしまう。
答案者は悩む。一体どういう事なのだろう。一枚紙の中ににっちもさっちもいかない矛盾を見つけて戸惑ってしまう。
正しい状態と間違っている状態が共存するなんて言うことがあり得るのだろうか?
答案者は悩み続ける。
最強の矛と盾をぶつけたら、お互いに少しだけ傷がつきました。 時間が経ったら直りました。以前より頑丈になったようです。