ルノーは日産と提携している。ルノーが中国に売り飛ばした技術は、すべて、日産の技術である。というのも、ルノーにはEVの開発能力が無く、そのコンセプトからデザインに到るまで、日産製である。日産の社長であるカルロス・ゴーン氏は、親会社にあたるルノーの会長兼最高経営責任者(CEO)を兼ねる事から、日産とルノーの間の提携もすんなりとまとまったが、ここに来て、フランスらしい汚職が出てきたわけである。
機密を賄賂で漏洩するというのは、フランス人の常習みたいなもので、欧州の賄賂大国の名は、伊達ではない。売れる機密があれば、確実に売り飛ばすのがフランス人である。そして、同じような性質の中国とは、相性が良いのであろう。
ルノー社の幹部社員3人が、中国の電力会社から賄賂を受け取っていたという口座の記録が暴露されて、容疑は固まったわけである。
日産の社長が外国人であり、賄賂が通用する国の企業と親会社子会社の関係にあるという事のデメリットが、表面化したのであった。
多国籍企業はスケールメリットを追求したり所得移転で節税するという点では効率的であるが、それぞれの国家ごとの民族性による適性の違いが、表面化しやすい。メリットは過大評価し、デメリットは過小評価するというのは、人として平均的なミスであるが、他人の資金を運営したり、企業のトップにある人には、凡人ならば許されるようなミスであっても許されない失敗となる。それが、責任の重さである。地位や報酬にふさわしい能力を持っていない人が、そういう地位につき、報酬をうけとっているというのは、どんなに失敗をしても犯罪をしても、表沙汰にならないような閉ざされた環境であれば通用するが、そのような環境は、現代においては、中国にでも行かなければ存在しないのであった。
中国市場において、日産の技術を丸パクリしたEVが出てきて、中国独自技術の製品として輸出される事になるであろう。日産やルノーの株価に致命的な影響が出てくるのは、その後となる。