2010-08-05

ナンパのすすめ

 先日、私は久々にナンパをした。少なく見積もっても5年ぶり。ひょとしたら8年ぶりくらいかもしれない。本当はもうナンパなどしている歳でもないのだろうが、閉塞感を打ち破りたい気持ちもあり、ナンパをすることにしたのである。場所は花火大会の会場。24歳のシャイイケメン相方とした。もともと彼が花火大会に行きたいと言い出したのである。花火大会ナンパがしたい、と。彼はシャイなのでナンパができない。そこで、少しはナンパ経験がある私が彼にナンパの仕方を教える。そういう目的花火大会参加であった。

 だが、暑い。我々二人は暑さで溶けそうになりながら、花火見物のベストポジションへ向かった。早めに向かったのは良かったのだが、開始時刻までの時間つぶしを用意すべきであることも知らず、場所取りのレジャーシートを持参すべきであることも知らなかった我々は、固いアスファルトの地面にじかに座り、何もすることがなく、ただ開始時刻を待ったのだった。女の子に声をかけるなら花火が終わってから、駅に向かうまでの間だよな、などと二人で話したりしていた。

 最初花火打ち上げられると、観客たちが悲鳴のような声を上げる。もちろん歓声なのだが、花火の迫力は圧巻で、そのような声になるのも納得できる。金属元素の炎色反応が演出するドラマ。我々はしばしナンパのことも忘れ、花火に見入った。

 だけれども、男二人で花火を見ていてもやはり飽きて来るもので、私は帰りの電車の時刻が心配だったこともあり、花火を見ながら帰りの駅へ向かうことにした。観客でびっしりのエリアを抜け、屋台が軒を連ねるエリアに来たとき、我々はジュースを買って休むことにした。そこでこの日初めてのナンパを行う。女の子二人組を見つけたのだ。

私は、相方に声をかける練習をさせようと思い、声をかけるセリフ立ち位置姿勢、などを細かく指示した。だが、彼はタイミングを逃し、「次行こう」などと言い出す。これではダメだなと思った私は、とっさに自分で動いた。花火の音がもうしなくなっていたから、「花火はもう終わりなんですかね?」と自然な感じで声をかけることができた。相手の反応は良かった。最後に昼になったのかと思うくらいの連発の花火があがるはずで、それを待ってるんだとのこと。相方も話に加わり、彼女たちは○○(都道府県名)に住んでいる大学生で、中学からの知り合いであること、その花火大会にはほぼ毎年来ていることなどを聞き出した。だが、その後の会話を弾ませることができなかったからか、「じゃあ私たちそろそろ行くんで」と笑顔で言い残し、彼女たちは去っていった。去る者は追わない、というのが私の基本方針なので食い下がったりはしなかった。準備不足(セリフの用意・流れの想定など)もあるなぁと私は感じた。

 二件目のナンパは、道を聞くふりをして女の子二人組に話しかけた。「あ、すいません。あの○○駅っていうのは○○(鉄道会社名)の駅なんですかね?」という第一声。我ながら平凡だなと思うが、これが私のナンパスタイル。いかにもナンパ、という声のかけ方はしない主義だ。私の質問に対して、一人の女の子が誠実に教えてくれた。「どうやって帰るんですか?」と尋ねると、「車で送ってもらうんです」との答え。彼氏か親を待っているのだろう。それ以上話していても意味もないだろうと思い、我々は礼を言って駅に向かった。

 ナンパの魅力的な点はいろいろあって、例えばこちらの第一声に対してどんなふうに返してくれるのかなというくじ引きを引くときのようなドキドキ感。あるいはこちらが前もって考えておいた筋書き通りに話が進んでいくかというゲームのような感覚。だけど、ナンパ醍醐味は何といっても意外な出会いがあること。人は見かけでは判断できない。愛想が悪そうに見えても、話してみるとすごく素直ないい子だったりするものなのだ。この二件目のナンパでの女の子がまさにそうだった。「え、この子、こんなに優しいの!?」という印象。長くナンパをしていなかったから忘れていたナンパの魅力を思い出し、たまにはナンパをするのも悪くないなと感じた。

 ナンパをするために花火大会に来て、2組にしか声をかけられなかったのははっきり言って情けないことだ。ただ、今回は電車時間の都合などいろいろな事情があり、仕方なかったとも思っている。また次回、だ。

 ナンパをすると、普通に生活しているのでは出会えないような女の子に出会うことができる。そして普通に生活しているのではあり得ないような会話を交わすことができる。それこそがナンパの魅力だ。そして私は、まだまだこの世界も捨てたものじゃないなという感覚を持つことになったのである。

 多くの人がナンパについて考えるとき、「怖くてナンパなんてできない」というように感じるようだ。だけど、一体何が怖いというのか。「拒否されるのが怖い」、そういう声を聞く。でも拒否されることは本当に怖いのか。拒否されたらどうなるというのだろう。例えば、ナンパして遊びに行こうよと言ったら「そういうのはちょっと…」と断られた。それはあなたが人生において打撃となるのだろうか。私はそうは思わない。

 これがもし、長く付き合っている彼女であったらどうだろう。ある日、彼女を「今度の休みに遊びに行こうよ」と誘った。そうすると彼女が言う。「あなたと遊びに行くのはちょっと…」。これは打撃となると思う。長く付き合っていてお互いのことを知っている。そういう間柄の人にあなたと遊んでもつまらないという意味のことを言われたとしたら、それはあなたの人格の否定であると言ってもいいものだろうし、それで傷つくのは当然でもある。だけれども、ほんの数分前に知り合った人につまらないと言われたとしても、あなたは傷つくのだろうか。多くの人は、ナンパをすることもなしに、傷つくことばかり考えて恐れているのではないだろうか。ナンパで断られることなど、大したことではないのだ。何度かナンパをしているうちに、断れることにも慣れてくる。

 あともう一点指摘しておきたいことがある。それは、日本人女の子礼儀正しく、ナンパを断るときにも丁寧に断ってくれる、ということだ。こちらが「人格の否定」と受け取るしかないような、そういう非情な断り方をしてくることはめったにないのだ。上述の一件目のナンパでは、「じゃあ私たちそろそろ行くんで」と笑顔で去っていくという断られ方をした。これはなんら我々にダメージを与えるものではなかった。他に私が体験した断られ方としては例えば、「すいません。私これからバイトなので」などというもの。これも言われて傷つくものではない。

 ナンパに近いものとしてホスト客引きがある。私は街を歩いていて、客引きしているホストに出会うと、早足で追いかけ、何を話しているかを聞いたりしている。そしてほとんどの場合女の子が断っているのだが、その断り方は非情に柔らかいのだ。たいていの女の子が「すいません」と言いながら断っている。ホスト客引きされて、「すいません」なのである。路上でのキャッチセールス等は禁止されているのだから、どちらかと言えば謝るべきはホストの方であるのに、である。このように日本人女の子は基本的に礼儀正しく、優しい。相手がナンパしてきた男であれ、ホスト客引きであれ、丁寧に接してくれる。もしあなたが、ナンパなんてすると「ウゼえんだよ。話しかけてんじゃねえよ。」などときつい言葉を浴びせられるというイメージを持っているなら、それは間違っていると言わざるを得ない。日本人女の子は、捨てたものじゃないんだってことを知って欲しい。

 ナンパをしても、あなたが失うものなんて何もない。ナンパを何かを得ることはひょっとしたら難しいかもしれない。でも、ナンパは生き物だ。何が起こるかわからない。あなたは、ナンパをすることで、当初想像していたものと全く違うものを得ることになるかもしれない。人間関係とは何か、ということをいつもとはちょっと違った角度で考える、そのきっかけとして、私は「ナンパをしてみたらどうですか」とあなたに勧めたいのである。

 ※ちなみに私のルックスは並以下。背も低いし。ひどいルックスという程でもないと自分では思っているけれど…。

  • そういえば、ひきこもりの人がナンパ師になったという本があったね。

    • ああ、あったね。 彼は確かに引きこもってたみたいだけど、電波少年のノリで無理そうなことをやってみようってつもりでナンパを始めた、みたいなことをブログに書いてたから自分と...

  • ナンパかナンパじゃないかよくわからないような微妙なナンパが増えると、 普通に道聞くのもやり辛くなるのでやめて欲しい。 特に啓蒙活動をしてそういうナンパ師を増やすのをやめて...

  • 痴漢被害を訴えると「冤罪だ!」と非難され、レイプ被害を訴えると被害者が一番陰口を叩かれる。 ナンパを断ったら「勘違いしてんじゃねーよブス!」と捨て台詞を吐かれた事例もあ...

  • 普段の行いに自信があったら、ナンパなんてする必要ない。 むしろ学校なり職場なり趣味サークルなりの組織の中で、 普段の自分を長期間かけてガッツリ見せた方が異性へのアピールに...

  • ブスに生まれる 意図的にはできないので× 歳をとる 即効性が無いので× 太る ナンパ男だけでなく好きな男まで逃げるので× 健康にも悪影響 イヤホンで音楽を聴く "話聞く気ゼロですよ"...

  • 俺が街で見かけるナンパはこういうのじゃないなあ そいつが下手だって事なんだろうな たいてい女の子は無視して聞いてないフリとか手で払いのけとかしてる

  • 面白かった。 ありがとう。 ただそれだけ言いたかった。

  • ナンパをすすめない 5つの理由 ナンパを勧めない日記です。 最近 http://d.hatena.ne.jp/qqille/20100813/1281706739 とか 増田では http://anond.hatelabo.jp/20100805220128 とか 多くの人は初めからやろう...

  • ナンパをすすめない 6つの理由 ナンパをすすめない記事です。 最近 http://d.hatena.ne.jp/qqille/20100813/1281706739 とか 増田では http://anond.hatelabo.jp/20100805220128 とか 多くの人は初めからやろ...

    • 4.※ただしイケメンには限らない。でもフツメン以上は必要 これは絶対そうだと思ってたw だって軽い子ほどルックス至上主義だもん。

    • http://anond.hatelabo.jp/20100815134333 おお、素早い反応。増田で返信してみる。 私はナンパ賛成派ですよw スキル的な意味で風俗とかよりもナンパやった方が良いという考えも同じです。 た...

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん