2009-08-01

学ぶことは、まねること

学ぶことは、まねること

この言葉は、私が大好きな友人の口癖だったのですが、30代のころは、さほどありがたみがわかりませんでした。それが40歳になって初めて、重みや実感をもって響いてくるようになりました。

「学ぶ」と「まねる」はもともと同語源で、どちらも「真に似せること」を表しています。ただ、「学ぶ」の方は、より体系的に教えられる学問を学ぶのに用いられ、「まねる」はもともと「まねぶ」と表記され、相手の技を模倣するのに用いられるよう分岐していきました。

そして、社会人になったいま、学生時代のように体系的に「学ぶ」機会がどんどん少なくなっていく半面、さまざまな人や良書との出会いの中から相手の技を見抜き、「まねる」ことの方が、より汎用性が高くなっています。

実際、私はさまざまなメディアで人と対談する機会をいただいていますが、いま活躍している方たちが、どのような経験スキルを基礎にして業績を残しているのか、その土台となる部分について、いつも考え続けています。そして、自分もその能力を身につけたいと思ったときには積極的にまねていくのです。

最近ニューヨークで、マルコム・グラッドウェルという米国で何百万部も本を売っているベストセラーの著者にインタビューする機会がありました。最も感銘したのは、「どんなお客さんを想定して本を書いているのですか?」という私の質問に対する答えでした。

私は年齢とか性別などに関する返答を予想していたのですが、グラッドウェル氏の答えは、「私の本を読んで知的な刺激が得られるのを喜び、周りの見方に対する興味が活性化する層に向けて書いている」というものでした。

この答えに、自分がいかに年齢や性別と言った旧態依然の区分けにこだわっていたことかと深く反省しました。そして、グラッドウェル氏をまねて、私の顧客対象を「経済的、精神的な自立を望み、社会の変化に参加したい人」と考えるようにしました。

学ぶことは、まねることと得心し、少しでもいい気づきを得られると、まねることが苦ではなくなります。そして毎日、まねをくりかえし、組み合わせることで、新しい考え方を学んでいくのです。

http://www.asahi.com/business/topics/katsuma/TKY200906280105.html

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