Sun Microsystemsの株を買って取締役を送り込んだ投資ファンドが、株価を引き上げる手段として、IBMとの合併話をでっち上げているようである。
株価を引き上げて売り逃げしないと、投資したお金を現金化できない。本業でがんばって企業価値を高めて、株価を引き上げて利益を得るというのが、投資ファンドの本来の存在価値なのだが、実際には、ほとんどの投資ファンドが、このように、短期での転売益を目的として行動を取っている。
株式を買い占める過程で株価を吊り上げてしまったので、それまでの配当では利回りが悪すぎる。吊り上げた価格を正当化する為に、より大きな企業に吸収合併してもらい、時価総額を現金化するのである。
バブル期ならば、これは十分に成立した。お金が余っているのだし、資金規模の大きい所は、手持ちの資金の運用先が無い。新事業を立ち上げるよりは、すでに成立している事業を買い取って傘下に加えるという手法は、経営者にとって、失敗した時の責任を回避しつつ、成功した時のメリットを独り占めするという目的に合致しているので、そのような仲介を主な仕事にしているインベストメントバンクが、雨後の筍のように発生したのである。
実際には、そのようにして合併された企業の大部分が、買収価格に見合う利回りを発生できていない。
IBMにとって、Sun Microsystemsを買い取っても、メリットは無い。Sun Microsystemsのsolarisは、独自CPUであるSPARCの開発まで行われており、ハードウェアとOSをセットで使った時に最高の性能を発揮できるようになっている。IBMのAIXも同様である。つまり、吸収合併しても、当分の間は、異なる製品ラインを持つ事になる。一本化するまで、社内に二系統の指揮系統を残さなければならず、統合の効果が出ないのである。
どうせ売るならば、サーバー業界に新規進出したいと考えている企業をターゲットにするべきであろう。そう、独自のハードウェアを作るセクションもノウハウも無いのに、サーバー用OSを作っているところとか
http://technet.microsoft.com/ja-jp/windowsserver/default.aspx
の方が、まだ、売れる可能性はある。