中国から合法的に資金を持ち出す事ができないのに、なんで中国企業は原油や資源の買い付けに資金を出しているのかという疑問がきた。
中国の企業が全て民間企業だと思っているから、このような勘違いが発生するのであろう。中国の企業には、外資系企業と、民間企業と、国有企業の三種類がある。このうち、原油や地下資源の買い付けに資金を出しているのは、国有企業だけである。それ以外の企業には、そのような活動が認められていない。したがって、合法的に資金を持ち出す事ができないのである。外資系企業ですら、輸入は国有企業を通さなければやれないので、物資を購入する事で資本を国外に持ち出すという事ができない。輸出はいくらでもできるから、外貨を中国国内に運び込む事はできても、それを持ち出す事ができない。中国の現実に気づいて撤退しようとする前に、山塞(コピー商品)を作り、もし逃げ出したら、怒涛の如くに市場にこれらのコピー商品を流し込み、ビジネスを潰すと恫喝する。山塞を取り締まらないのは中国政府の意思であるし、騙されていた事に気づいた外資系企業に中国の国益に反する行動を起こさせない為に、中国政府自身が山塞を作る指示を出し、輸入品である原料や生産機械の手配をする。これによって、中国から外貨を持ち出せるのは国有企業だけとなっている。中国は、投資したお金を回収できないブラックホールなのである。
中国の国有企業の活動は、石油や地下資源だけではない。SWFとして金融資産を買い占めていたり、その一環として、外資系企業に資本参加していたりという事がある。
そして、昨今の金融危機で外資の中国への投資が止まっているが、実際には、中国に投資する外資が存在している。この外資による投資が、実は、中国の国有企業が、海外から中国に資金を戻す行為である可能性が出てきている。
外資が中国に入れたお金を、中国の国有企業が国外に持ち出し、再び、別の外資の投資に見せかけて、中国にお金を戻しているのである。
中国は順調に経済成長していて、投資対象として有望であるという印象を作り上げ、何も知らない西側企業を中国に引きずり込む手段としては、ローコストで効果が大きい手段と言える。
だが、中国を一つの企業としてみると、外部に投資として出したお金を、再び中国に投資させているのだから、循環増資をしている事になる。
本来ならば、国外投資の回収とするべきで、海外投資の株式や持分として取得している資産の裏付けとなるべき現金は、再び中国に戻されてしまっているとなる。そのお金で、再び海外の企業やファンドにお金を投資しているとなれば、海外資産の帳簿上の残高は順調に増加するし、外資の中国への投資も途切れずに続いているという状況になる。
これは、民間企業がやると不正経理である。不正を取り締まるべき国家が、まさか、やらかしてはいないと思うのだが、中国に投資するという外資の裏を取ろうとすると、その出自が、どうにも胡散臭いのである。