鳩山さんとかがよく国会で言う「国民の皆様」ということばに違和感を感じて仕方ない。
「皆様」って誰のこと?
何県の人?
どの業界の人?
年寄り?
若者?
子ども?
主婦?
派遣?
自営業者?
ニート?
立場によってもっとも力を入れてほしい部分は変わってくるし、乱暴に「皆様」とひとくくりにされて
「国民の皆様がそう願っておられるのです!」
とか言われるのはどうにも釈然としない。
もちろん特定の利権ばっかり贔屓されてても困るし、そういうことはもうほんとに、ほんとにやめてほしいんだけどさ。
あとは「皆様」に込められた国民への媚びへつらいが鼻につく。
何もあんたらの客じゃねーんだからさ。そうやって無意味にへりくだってもらわなくてもいいんだけど、と思う。
「国民は、そのように願っておるのではないですか!」
とか
「われわれは、そのように願っておるのです!」
とかいう口調で話していて、特に国民に対して敬語を使ったりはしていなかったと思う。
中学校で「国会議員は選挙によって国民の中から選ばれる」と習った。
ある同意見を持つ人々の代表として公に主張するために、国会の場に立っているわけだ。
建前としては、国会議員も国民も、立場はそう変わらないわけだ。
国会議員がへりくだり、国民を上に持ち上げるような言葉遣いは本来はおかしいのではないか。
だから
「国民の皆様がそう願っておられるのです!」
ではなくて
「国民は、そのように願っておるのではないですか!」
「われわれは、そのように願っておるのです!」
が正しいのではないかと思う。
「国民の皆様」とかいうことばで国民に擦り寄ろうとしているのかもしれないが、結局は他人事としか見ていないのだろう、だからそうやって距離のあるものの言い方ができてしまうということなのだろう、ずっとそのように思っている。
同様の発想で、最近貼られている民主党のポスターにも首を傾げてしまう。
小沢さんのアップとともに
「国民の生活が、第一。」
とのキャッチが刷られている。
当たり前だ。
それが第一でない政党には端から用はない。
たぶん、一部の例外を除いた大部分の大衆はそうだろう。
そもそも「国民の生活」とは何か。
経済か。
治安か。
社会保障か。
教育か。
公衆衛生か。
全部だろう。
「国民の生活」とは、つまるところ国民の三大権利の保証と三大義務の履行にかかわることだ。
そのためにおろそかになっていいものなど、本当はひとつもない。
「国民の生活が、第一。」なんて、民主主義の国家で政権を狙う政党である以上、そんなことは当たり前すぎて今更言われてもしょうがないのだ。
別に自民党の回し者じゃないんだが、自民党だって政党として目指すところは基本、何ら変わらないのだ。
「当たり前のことを言葉にして訴えるのが大事」とも言えるけど、民主党の場合、前述の「国民の皆様」の印象とあいまって、どうにもマイナスのほうに受け取ってしまう。「わざわざ言うってことは、本当なら何か違うことを言う可能性もあったってこと?」とか。
敬語が付く前の「国民」はイメージとか総称で、具体的な要素は一つもない。 「白馬は馬にあらず」にたいに、具体的な要素が一つでも入ると相対としての馬ではなくなる、みたいな。 ...
そうだなあ。 それじゃ、敬称になる前も後も、たいして変わりはないってことなのかな。