もっと単純に言うと「マイナー作品に金が流れることで、市場は以前よりも多くの作品で溢れかえる」という事です。同人、商業市場どちらにおいてもです。
具体的な根拠は無いですし、風が吹けば桶屋が儲かる的な話なので、「まあそんな考え方もあるか」位に読んでもらえると幸いです。
まず、前提としてP2Pファイル共有が有っても無くても個々の消費者の可処分所得は変わりません。また、仮定としてファイル共有があってもなくても同じようにコンテンツの消費額もほぼ変わらないと仮定します。タダで済ませた分を食費にする人はそんなに多くないでしょう。最初から無くても生きていけるコンテンツを、食費を削ってまで買わない。
さて、問題はこの限られたパイの配分です。
P2Pファイル共有が無かった場合、人気のある作品を(友人間の貸し借りはあるかもしれませんが)多くの人が買うことになり、マイナーな作品に流れるお金はそれらの「おこぼれ」になります。結果として人気のある作品にばかりお金が流れます。
逆にP2Pファイル共有が社会により深く浸透した場合。やはり人気のある作品は沢山売れるのですが、ある一定数以上売れるとP2Pファイル共有にコンテンツが流れはじめ、それ以降はあまり売れなくなります。その結果その分のお金は今まで買っていなかったマイナー作品へ流れ始め、打ち切られる、あるいは絶版になっていたような作品も市場で生き残れるようになるでしょう。したがって、市場で生き残る作品の数はP2Pファイル共有が無かった時に比べ増えると思われます。
ですから、人気作品の売り上げは下がる一方、マイナー作品の売り上げは地味に上がっているのではないでしょうか。個々のマイナー作家の収入増はそれほど大きくないはずで、大きな減収のあるだろう前者よりも「目立ちにくい」かもしれませんが。
もちろん、この結果が「良い」かどうかは人によるとは思います。ある意味社会主義的なこのシステムでは、人気のある作品を作っても消費されている分の収入は得られない(*1)訳で、市場経済的な考え方が深く根付いている現在の日本では「悪い」と思う人も多いかもしれません。また、人気作品やそれらを生み出す事が出来る大企業の方が社会的な声は大きく、そうした意見はさらに強調されているでしょう。
ですが私は、そういった人気作品だけが生き残る社会よりも、もっとマイナーな、ほかの人から見れば駄作であるような、そんな作品も含めて市場がにぎわっている社会の方が好きです。そっちの方が豊かな社会だと、私は思います。
「P2Pやニコニコ動画の違法アップロードは作品の宣伝になる」みたいな話はよく聞き、これはおそらく「涼宮ハルヒの憂鬱」に関する記事が大本だと思いますが、著作権関連の議論ではそれこそ「涼宮ハルヒの憂鬱」のようなメジャー作品の話題ばかりだと思ったので書いた次第です。
法律的にどうのとか、道徳的にどうのと言った話題はこの話題と関係ないので勘弁してください。あくまで市場がどうなるかという話です。
*1:それでも人気の無い作品に比べれば格段に多いのは間違いないのですが。
大作が売れない分マイナー作品は売れやすくなるのではという話。 たしかにそういう話題って見たこと無いな…いつもヘッドの話ばっかり。 音楽の保証金制度とかを見る限り、本当に同人やインディーズに流れるかも
やはり売れている作品の方が話題になりやすいですし、減収額も大きいですからね。
保証金制度は大多数の人間が知らないので今のところあまり影響は無いと思いますが・・・。
「マイナーな作品はファイル共有で済まされて売り上げがより落ち込んでいる」みたいな話も聞きますが
マイナー作品は現在手に入れにくいですからね。「Amazonで送料掛けて買う位なら、頑張ってファイル共有で落とすか」となってもおかしくないかもしれません。
今後ネットのダウンロード販売等が普及しマイナーもメジャーも同じくらい買いやすくなれば、この話も説得力を持ってくるかもしれません。この場合、「メジャー作品はファイル共有で済ませて、ファイル共有で流れていないマイナー作品は買う」という判断が一番合理的だからです。
今一番この話が成り立っているのは、コミケだと思います。コミケの場合、一般とは違って人気作品の方が手に入れにくいからです。壁サークルの(ほかに比べ高い)作品に二時間ならんで作品を買うくらいなら、壁サークルの作品はファイル共有で済ませて、人気の無いサークルの(壁に比べれば安めの)作品を沢山買う方が効率的に思えます。
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