2007-12-01

http://anond.hatelabo.jp/20071201051256

太平洋戦争直後の日本では、実際に円が紙くず同然になった。また、多くの企業経済活動体として滅んだ。で、何がおきたか。

まず占領軍としては強権を発動しながらも、日本人奴隷として使うわけには行かないので必要な物資は買った。このときはドルと円のまぜこぜだろうが、基本的には円に収束する方向。

円、ドルどちらでも通じる話だが、お金で払おうとすると受け取った人がお金を使える経済社会がないといけない。あたりまえだ。使えないお金のために働く奴はいない。それが円でもドルでも。

とりあえず最低限の配給を進めながら、あとは経済をどうやって立て直すかと言う話になる。これが占領軍&秘占領政府の考えたこと。同時に自然発生的にあちこちで商売が始まる。たいていの奴は戦前やっていた商売の延長だが、アイデア一発で仕事を始めた奴もいる。たとえば「新聞」。どう考えたって新聞生活必需品じゃないのだが、全部焼け跡になると、誰だって何が起きているか知りたい。だから売れるだろう。或いは消息として。では新聞屋を作ろう。輪転機は?ない。紙は?ない。新聞記者は?知り合いのだれそれが文学部だそうな。そいつにやらせろ。代理店は?街頭売りから始めろ。きついよ。文句言うな。ない物を何とかする才覚と、「この金って、価値があるのか?」ということに目を瞑る肝のあった奴がたくさんいて、戦後わらわらと会社がおきた。戦後占領軍の政策がうまく行った背景には、基本的には「不正をしてはならない」「働かなければならない」というベクトルを持っていた日本人という土壌がある。占領軍経済政策の最初はそれを追認するための物資配給の整備。

そういうわけで、国が焦土となって金が紙になってもいきなり奴隷にはならないってこと。第一次生産者である農民漁民は「国のいうことなんか聞かなくても食っていける。俺は自分で作った分は自分で作る。そんな信用ならない金はいらない」と言える。しかし、これを許すと経済復興はならない。そこで農村漁村に対しては若干の脅しすかしを加えながら、国家による買取を行うことになる。一度歯車が回り始めれば、農民だって働いて金を稼ぎ始める。隣は実際に金をもらっているのだから。

記事への反応 -
  • お金という概念がなくなった時のメリットとデメリットは何ですか? もやもやとあやふやに思い浮かぶのですが、何せ知識不足+知恵足らずなので断言できません。 地球温暖化や自殺者の...

    • 共産主義というか、本当に商取引が消滅した世界というのはどんな感じかちょっとだけ考えてみます。 戦争に負けた国などでお金が紙くずになることはあり、物々交換が広まるのですが...

      • 太平洋戦争直後の日本では、実際に円が紙くず同然になった。また、多くの企業が経済活動体として滅んだ。で、何がおきたか。 まず占領軍としては強権を発動しながらも、日本人を奴...

    • 『共産主義』で調べてください。今更再議論するまでもない話題です。

    • 「お金」という物理的実体がなくなり、「与信枠」と「決済」だけになってしまった世界というのは充分想定可能です。要するに Suica で一日の暮らしが全部成り立つような世界で、会社...

    • http://anond.hatelabo.jp/20071201034221 私は、だけど お金というものは、人が働いた苦労を目に見える形で実体化したものだと思う。 そしてお金は生活をするために必要なものと、税金を払ったり...

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