2010-09-02

きっかけ

昔すげー好きな人がいた。

当時20歳になりたての俺は、デブだし、暗い性格だし、友達もいないし、童貞だし・・・

なんて、自分自身の全てにコンプレックスを抱えていて、俺はこのまま独りで生きて、死ぬんだろうなぁなんて思ってた。

それまでも何人か好きな人はいたんだけど、告白なんかしたって、どうせ自分には無理だろうと思って、最初から諦めてた。

そもそも、そんなに親しくなれねーし、俺なんかに話しかけられたって向こうも迷惑だろうとか思って、友達にすらなれてなかった。

その時好きになった人は7つ年上で、だけど、職場の後輩で、彼氏がいる人だった。

仕事だからどうしても話しかけなきゃいけないことだってあるし、ある程度自分の中で「仕事だから」と割り切ってた部分もあってこっちから彼女に色々話しかけて仕事のやり方について「こうした方がいいよ」とかアドバイスしてた。

そんなことしてたら、ある時から彼女自分から俺に相談を持ちかけてくるようになった。

それが俺には嬉しくてたまらなかった。

あぁ、こんな俺でも頼ってくれる人がいるんだなって思って。

そう思えたら一気に心が軽くなった気がして、自分でも誰かの役に立てるんだって実感できて、ならもうちょっと頼れる人間になりたいって思えた。

だれかの役に立てるような、信頼されるような、誰かの笑顔を引き出せるような。そんな人間になりたいって。

彼女相談にたいしては、話を聞いて「辛いよね」って同調するとか、気晴らしに遊びに付き合うくらいしかできなかったんだけど、それでも彼女は俺に相談し続けてくれて、それが半年くらい続くとだんだん仕事も慣れてきたのか、そういう相談はなくなっていった。そのかわり、笑顔で他のスタッフやお客さんに接している場面を見ることが増えて、相談されることがなくなったのはちょっと悲しかったけど、でも嬉しかった。

だれかの笑顔を見れるのがこんなに楽しくてうれしいことなら、俺はもっと明るい人間になって、これから関わっていく人たち全ての笑顔を見たいと思った。

そこからやっぱり半年くらいして、俺はその職場を辞めることになって、さすがに初告白彼氏持ちとかハードル高すぎて結局告白なんて出来なかったんだけど、それ以外のどうしても伝えたかったことだけ、辞める当日に伝えられた。

「俺はあなたに出会えてよかった。あなたに出会えて、自分を変えることができました。本当に感謝しています。ありがとう。」って。

彼女は「??」って顔してたけどね。

それ以来彼女とは2~3回電話で話をしただけで、会ったことはないし、これから先もう会うこともないんだろうけど、もう何年も経った今でも時々あの時のことを思い出す。

あの時、俺に変わるきっかけを与えてくれた彼女のおかげで、俺はその後、初めて彼女ができて、今度結婚することになりました。

あなたに伝えたかったけど、伝えられなかった言葉があることが少し心残りで、その言葉をここに書き置いて、俺はこれから自分の妻になってくれる人を精一杯幸せにしたいと思います。

本当に本当に大好きでした。

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