高校時代の野球部の友だちの話なんだけどさ。
もうすぐ一年になるかな、友だちの奥さんが強盗に刺されて殺された。
当時友だちは出張で家を明けてて、一週間ぶりに家に帰ると奥さんが血まみれで倒れてた。
死後三日近くそのままの状態だったそうだ。
新婚でその家には引っ越してきたばかりで、まだ近所付き合いもなかったから発見が遅れたらしい。
犯人はしばらくして別の事件で逮捕されて、この事件についても自白した。
あれから一年経って、裁判も終わり友だちも職場にも復帰して、なんとか元の生活を取り戻そうとしてた。
でさ、先日奥さんの一周忌も兼ねて、その友だちと俺とその他数人で久しぶりに飲んだんだ。
飲み始めて大分経った頃、友だちが突然笑いながら妙なことを言い始めた。
ここのところ、家に帰ると嫁が死んだふりして玄関に倒れてるんだ。
最初はTシャツをケチャップまみれにして、胸におもちゃのナイフを刺してる程度だったんだけど
近頃はエスカレートして頭に弓矢を刺して倒れてたり、それは入念な準備をしてるんだって楽しそうに話すんだ。
俺たちも何を言っていいかわからなくなって、昔から楽しい子だったよなーとか言って適当に話を合わせるしかなかった。
そしたら、友だちがいきなり怒り始めちゃってさ、お前らバカかここは突っ込むところだぞ、俺が頭おかしくなったみたいじゃねーかって。
俺はあいつが死んだことはちゃんと受け入れてる。それに幽霊なんか信じてないしな。
でも、家に帰ると嫁がいるんだ。いつも死んだふりして倒れてる。
そこからなんか変な空気になっちゃって、その飲み会はそのままお開きになった。
友だちはべろべろに酔ってたから、家が近い俺が送っていくことになった。
帰り道でも「お前にも見せてやるからなー」なんて意味のわかんないことを口走ってて。
家に着いた。鍵も俺が開けて、ふらふらになってる友だちをベッドまで運んだ。
したらさ、確かにそこに「嫁」がいたんだ。
最後にベッドに倒れ込んだ友だちが言った。
「きれいな顔してるだろ。死んでるんだぜ、それで。」
おまい文才あるな 作家をめざしていた俺の人生は完全に絶望した
最初のほうしか読んでないけど、 なんで出張中に一週間も連絡すら取らない? まして新婚なのに。