2008-10-25

純粋であることは異端である

君はすこし読心術が過ぎるのだ

人の心に本当のもの(笑)なぞ求めるな

あらゆる人間関係にはすべて

茶番の要素が含まれている

他人にはこうだろうと思う通りを思わせよ

こうあれよと願う通りにあらしめよ

それで大体うまくいく

本当のもの(笑)なぞどうでもいい

本当のもの(笑)なぞ誰も求めていやしない

純粋であることは異端なのだ

街角で街頭で交差点で駅でオフィス工場会議室

今日も盛んに異端審問が催されている

指摘され慌てて否定するのは純粋

指摘され考え込むのは良く訓練された純粋

指摘され頷くものは腰の据わった純粋

純粋は撲滅されねばならぬ

なぜなら《本当》こそ人類の敵であるからだ

いつからか我々は《本当》を敵に回してしまったのだ

《本当》を解体し分解し還元し分析し計量し

消毒し漂白し連結し縫合し編集し投稿し複写しなければならぬ

さもなくば死だ

本当の自分(笑)

本当の気持ち(笑)

どれも人を殺す凶器なのだ

それらもやはり解体し分解し還元し分析し計量し

消毒し漂白し連結し縫合し編集し投稿し複写しなければならぬ

本当の自分(笑)それを押し付けられたとき

人間は圧死する

本当の気持ち(笑)それが伝染を始めれば

コミュニティは虐殺される

本当の自分(笑)

本当の気持ち(笑)

そんなものは排泄物のように

君自身がこっそりと始末をつけるべきものなのだ

それらを人に押し付けようとするものは

撲滅すべき純粋

本当のもの(笑)

本当のもの(笑)はいつだって心の内側にしか

ありえなかった

君が行動し君が打ち立てる

決して完成しない何ものかの内側にしか

ありえなかった

心と心の間には本当のもの(笑)なぞどこにも見当たらぬ

それでも本当のもの(笑)を見たと思う瞬間が稀に訪れる

もし君がそこで立ち止まってしまうなら

君はやはり撲滅すべき純粋だと言わざるを得ない

恐れるがいい撲滅を

異端審問を

解体を分解を還元を分析を計量を

消毒を漂白を連結を縫合を編集を投稿を複写を

恐れるがいい

《本当》を見てしまった純粋な者よ

世界が君の前に立ちはだかるのだ

世界を滅ぼしてみせろ!

君の《本当》で

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん