はてなキーワード: ババ抜きとは
http://anond.hatelabo.jp/20081217152308
僕らはみんなでババ抜きをした。誰かが割を食って他のやつが幸せになるためだ。
最初の日にババをAくんが引いた。
次の日、ババを引いたのはBくんだ。
ババを引いた人は一日限りだけれどみんなのために働いて、ごはんも寝る場所もない罰ゲームを食らう。
僕らはそれが嫌だった。必死でババを引かないようにがんばった。
けれどもある日、カードを配る人がこんなことを言った。
「今日のババは二枚ある。ババをそろえても捨てられない」
僕らは戦慄した。必死でババを取らないようにがんばった。
その日からババを引く人は一人から一人か二人になった。
二枚持った人は負債を抱えるルールが追加された。つまり、次の日も罰ゲームを食らうということだ。
さらにある日、カードを配る人が真っ青な顔でこういった。
「今日からババは全員分あるんだ」
朝7時過ぎに、8歳の長男が嫁に起こされると4歳の次男が起きて「お父さん、おきてー」とぶんぶん体を揺り起こされて無理矢理起こされる。ニュース番組も見れず、NHK教育のサヨエーサヨエーとか言って体を動かしたりする番組や、団子を無理矢理食わせるアニメを見ながら、嫁が準備した朝食を食べる。食べ終わって皿を片付けようとすると、次男に「ぼくが一番なの」と言われて、皿すら片付けさせてもらえず、台所から皿を持って戻ってくる。そうこうしているうちに長男の登校時間になり、次男を肩車して「いってらっしゃい!いってらっしゃい!」と「オッパイ!オッパイ!」のノリで手を振りながら嫁と三人で長男を見送る。
布団を畳んで、次男がえっちらおっちら運んできてくれた枕と一緒に押入れに押し込む。掃除機で部屋を掃除。掃除が終わった頃、生まれたばかりの三男が泣き出す。オムツを替え、抱っこしてるとぴたりと泣きやむ三男。不当な要求はしてこないので助かる。嫁にパスして、おっぱいを飲ませてもらう。
歯磨きして顔を洗ってヒゲをそり、着替えて、次男を連れて幼稚園バスの来る場所まで連れて行く。毎日しりとりする。「ラッパ」の後、いつもと違うバリエーションの答えを思案していると、「パンツとかあるよ」と教えてくれるので結局今日もパンツと答えたりしているとバスが来る。バスのおじさんと幼稚園の先生に挨拶して次男を幼稚園バスに乗せてもらい、幼稚園バスが見えなくなるまで手を振って見送る。
仕事が終わって家に帰ると、次男と長男はお出迎えに出て来ない。ドアの影に隠れているので毎日「そこだ!」と指摘する。他の家族は夕食を終えているのでオレだけ遅めの夕飯。大抵テレビはヤッターマンかドラえもんかクレヨンしんちゃんでニュースなど見れない。食べているそばから次男がひざの上に乗ってきて、ゆっくり飯が食えない。味噌汁をずずっと音を立ててすすってみっともないと嫁に小言を言われながら、その話もテレビに見入っていて聞いてないとさらに小言を言われる。
飯を食い終わったら、長男にカードゲームをさせられ、次男には最近憶えてお気に入りのババ抜きとカルタをさせられ、その途中に三男が泣き出してオムツを替えて抱っこしながらカルタを続行。
そうこうしているうちにオレが掃除した風呂が沸くので、長男と次男を風呂に入れる。洗ってやった二人が風呂を上がると、ドライヤーで髪を乾かしてやる。布団を敷いて、寝ろ寝ろ寝ろいいから寝ろと寝ろを何回言ったかわからなくなる頃ようやく長男と次男が眠りに落ちる。マンガを読んだり、はてブや増田を見たり、小説を読んだりしながら、とりたてて何も生み出さないまま、眠くなって布団に入って寝る。
長男と次男と三男が、オレの手を離れてオレの代わりに何かを生み出して行くようになるまで、こんな生活がたぶん続いて行く。
そうならなきゃいいけどさ。
やっぱり怖いね。
どうしても最悪の事態を想像しがちじゃん。
まあ、いつかは弾けるとわかっててみんなが参加してるババ抜きなんだけどね。