2024-03-20

バブルの頃

俺はまだ若造で、仕事終わり一人で一杯やっていた。

その場にはやたらと声のでかいやつらが居て、周りも困っているようだった。

俺も苛ついて、酔いの勢いもあってそいつらに注意しに行った。

騒いでた奴らは俺と年齢は大差ないように見えて、話しかけると笑うのやめて俺の格好をじっと見つめてきた。

小馬鹿にするように鼻で笑うと、その内の一人が「三回回ってワンしたら30万やるよ」と言ってきた。

あいつらは俺のことを馬鹿だと思っていただろうが、俺はこいつらのことを馬鹿だと思っていた。

ただかそれだけのことで30万も手放すなんて馬鹿のすることだ。

俺は三回回ってワンをした。

男たちは爆笑し、俺はこいつらのことを心底軽蔑しながら30万を受け取り、店を出た。

その金で女を抱き、美味い飯を食べ、欲しかった物を買った。

それでも俺は今でもこの時のことを夢に見る。

俺は30万で三回回ってワンをした。

俺は今でもその時のことを思い出し、度々夢に出る。

認めたくはないという気持ちの方が強いが、それでも頭の片隅から消えてくれない。

俺の方が馬鹿だったのだろうか。

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