2022-08-28

楡の歌

 森の中に広場があった

 切り株のある広場で、その切り株の周りにだけ、樹は生えていない

 死んでしまったわけではない切り株

 まだその断面は瑞々しい


 鳥の声は聞こえない

 虫の声も聞こえない

 日差しが空から降りてくる

 でも、何故なのか太陽は覗えない


 そこには誰もいない

 でも、先程までそこには誰かがいたのかもしれない


 それは記憶なのか

 それとも、誰かが作り上げた幻想なのか

 そこには誰もいない

 今のところ、誰もいない

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