「上様、これは南蛮より伝来したキリンなる珍獣にござります」
「はて、麒麟とはかように首の長いものであったか?」
「弥助の故郷で捕えられたものにござります」
「絵で見たものと随分違うておるが。これでは首の長い鹿ではないか。確かに首の長い鹿は初めて見るがこれは麒麟ではなかろう。
かつて秦の二世皇帝に仕えた趙高は、二世皇帝に鹿を見せてこれは馬だと言い張り、周りの者にもそう言わせたそうじゃ。
光秀。そちは首の長い鹿を麒麟と言い張り、わしを馬鹿にしようというのか?」
「めっ、滅相も」
「黙れ! この金柑頭ッ!」
「敵は本能寺にあり!」
Permalink | 記事への反応(0) | 23:21
ツイートシェア