2011-12-26

足ばかりの神さま 石原吉郎

あぐらをかいているその男

しか神さまをみたことがある

おわりもなく

はじめもない生涯の

どのあたりにいまいるのかを

とめどなくおもい

めぐらしていたとき

まあたらしいごむの長靴はい

足ばかりの神さまが

まずしげなその思考を

ゆっくりとまたいで

行かれたのだ

じつに足ばかりの

神様であった

あぐらをかいていたその男

そのときたちあがったとは

どの本にも書いていない

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