2011-01-19

神話の創まり

世界のすべてを統べる神がいました。名を、ブーニベルゼといいます。








ブーニベルゼは、母なる女神ムインを倒して、世界を手に入れました

ムインは、目に見えない世界――不可視世界に消えました






ブーニベルゼは悩み多き神でした

世界は有限で、すべてが滅びる運命(さだめ)にあるからです

彼はこれを、不可視世界にいる母ムインの呪いだと考えました








滅びの呪いを解くために、ブーニベルゼはムインを倒そうと考えました

母の待つ不可視世界へ辿り着くために、入口を探さねばなりません。





ブーニベルゼは、自らの意志を抽出し、ファルシを創り出しました

はじめに創られたのは、ファルシパルス

パルスの使命は、世界を切り開き、不可視世界の扉を見つけることでした







つぎに創られたのは、ファルシエトロ

ブーニベルゼは、誤って、ムインそっくりにエトロを生み出してしまいました

その姿を恐れたブーニベルゼは、エトロに何の力も与えませんでした











かわりに創られたのが、ファルシ=リンゼです

リンゼの使命は様々な脅威から、ブーニベルゼを守ることでした

ブーニベルゼはリンゼに、時が来たら起こすように命じ、

クリスタルとなって永い眠りにつきました






パルス世界を広げるために、ファルシとルシを創り出しました







リンゼは世界を守るために、ファルシとルシを創り出しました








けれど、エトロには、何もすることができませんでした

孤独になったエトロは、自らの姿に似た母のことを思いました

エトロは、自らを傷つけて血を流し、消えてしまいました








流れたエトロの血から人間が生まれました

人間は、生まれては、死ぬだけの存在した







目に見える可視世界存在が滅びるのは、呪いはな運命(さだめ)でした

世界の総和は定められていて、可視と不可視世界が分け合っています。

その均衡が崩れれば、やがて、世界崩壊してしまいます。






ブーニベルゼの母ムインには、運命(さだめ)を止める手だてがありませんでした

彼女は不可視世界混沌に飲み込まれようとしていたのです







消えゆくムインのもとへ、エトロがやってきました

ムインは世界の均衡を保つようエトロに伝え、混沌に飲みこまれました






エトロは愚かだったので、ムインの言葉意味がわかりませんでした





孤独になったエトロは、混沌に飲まれていくだけの人間に親しみを覚え、

人が死にゆく時、微笑み、混沌を贈りました





人間は、エトロに贈られた混沌を『心』と名づけました

心は力になるはずでしたが、人はまだそれを知りませんでした




やがて人は、パルスを全能の支配者、リンゼを守護神エトロ死神と考え、

心という不可視世界を抱えて暮らすようになりました

人が混沌を抱えることで、世界の均衡は、かろうじて保たれているのです




クリスタルとなったブーニベルゼは眠り続けます

永遠が終わるその時まで――

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