2010-07-10

選挙事務の話

私の出身地である、とある地方自治体でのお話

当時の私は学生で、長期短期に係わらずアルバイトはしていなかった。

しかし、選挙となると話が別。選挙が行われる1ヶ月前になると、近くの役所に出向いて選挙事務のアルバイトに申し込んでいた。

選挙事務の仕事はそう難しくはない。その性質上ほぼ丸1日拘束されるが、その分お給金は多い。

最低賃金が660円程、長期アルバイトでの時給平均が700円くらいの地域で、選挙事務は時給にして1,000円も出してくれる。

前日の投票所設営で2時間、当日の投票事務で12時間投票所の片付けが1時間程度、15時間拘束で15,000円程度のお金が貰える。

(私は経験がないけれども、これに開票作業への従事も含めればプラス4時間で4,000円ほど増えるようです)

疲れはするが、1日でおよそ15,000円も稼げる仕事は、当時学生だった私にとってとても美味しい仕事だった。

都市部だったらば、実入りの少ない仕事に見えるだろうけれど、地方学生には魅力的。今でもそうかは分からない。


先日、私の出身地の公務員となった友人と会う機会があった。

選挙カーが駆け回り、各所で演説合戦が催されていたその日は参院選公示日。

そういえば、選挙仕事はそれなりに美味しかったね、との私の呟きに、友人は過剰に反応。

いや本当に美味しいよね!いやいや貴方公務員でしょ、学生には大きいが公務員にはそうそう大きくはないんじゃない?

眉を若干ひそめつつ、友人に言葉を返すと、彼女は大きく、そしてゆっくり、首を横に振った。

その日限りのアルバイトであれば、時給は1,000円で固定。

だが、職員が選挙事務に従事すると、拘束される15時間+αは全て時間外労働扱い、つまり残業扱いになるそうだ。

昨年の衆議院選に従事した際は、新規採用されたばかりの彼女が、投票事務開票事務両方に従事し、3,4万円ほど稼ぐことが出来たらしい。

確かにどっと疲れはするが、次の日は有給休暇を貰って休めばいい。彼女はそう言った。なるほどよく出来たシステムだ。

彼女は続ける。これが昇進や昇給で基本給が高くなれば、貰えるお金はもっと高くなるとか。

係長級の人間投票開票どちらもやれば、10万円より少し足りないくらいが貰えるという。

ならば、正職員とアルバイト仕事の内容は違うのかと訊ねれば、違いなどないと彼女は即答。

家から近くで、あまり人が来ないだろう投票所を選べば、楽してそれなりのお金が手に入る。そりゃ美味しいだろうなあ。


彼女の次の一言は「だけど」という言葉から始まった。

事業仕分け選挙運営費がカットされてしまったため、昨年の衆議院選に比べれば、選挙事務従事者に選ばれる正職員の数はかなり減らされるらしい。

これまで、選挙従事者のアルバイトと正職員の比率は3:2くらいだった。

今度がどれくらいの比率になるかは分からないが、大幅に削減されることは確からしい。

四六時中忙しくて誰も応募しないような投票所は正職員が行くしかないようだが、

それ以外であれば、必要最低限の職員(投票所の管理者など)以外は通らないのではないか、とのこと。

人件費はかなり削減されるだろうが、数人は経験者がいなければ当日混乱が起こらないかと思ったけれど、

まあ全くの初心者でも1時間やればこなせる仕事だし、それでいいのかもしれない。

ちなみに、このアルバイトはこの仕事経験があるから、この投票所に配置しよう、というシステム存在していないようです。

何回かの選挙に従事した際、「あなたは初心者か、経験者か」という質問を投票管理者から毎回されていたため。

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