首相の母36億円現金化 虚偽記載問題 政治資金一部充当か
鳩山由紀夫首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」をめぐる政治資金収支報告書の虚偽記載問題で、首相の母親が二〇〇三~〇八年の六年間に、鳩山家の資産管理会社「六幸商会」が管理する自己名義の銀行口座から計約三十六億円を引き出し、現金化していたことが、関係者の話で分かった。東京地検特捜部は現金化された資金の一部が、首相の政治資金に充てられた可能性もあるとみて、慎重に調べている。
関係者によると、首相の母親は自己名義の銀行口座から毎月、数千万円単位の出金を繰り返していた。出金手続きは六幸商会に依頼し、現金で引き出された後、母親の元に届けられているという。
母親の生活費や入居施設の費用などは、カード決済されているとされ、現金化した資金を日常的な出費に充てている可能性は少ないという。
懇話会をめぐっては、〇四~〇八年の虚偽記載の総額が三億円前後に上るとみられている。懇話会と首相の個人事務所の支出に対して、実際に受け取った寄付やパーティー収入と、鳩山首相が国会で認めた六幸商会からの引き出し額を合わせても、年間約一億円の収入が不足していたとされる。
鳩山首相は衆参予算委員会で、偽装献金の原資について親族らからの提供がないかを問われ「私の知る範囲でそのようなものはない」と答弁している。
鳩山首相の母親は大手タイヤメーカー「ブリヂストン」の創業者の長女。同社の有価証券報告書によると、一九九一年には同社株約千二百万株を保有。現在も同数を保有していれば時価百五十億円を超え、配当収入は最新の実績で年約二億九千万円になる。
母親は〇四年からの五年間、個人献金の上限となる百五十万円を懇話会に毎年寄付。首相が代表の民主党北海道第9区総支部にも同じ五年間で計六百万円寄付している。
母親から首相側に資金提供があった場合、首相への贈与なら首相に贈与税の支払い義務が発生し、懇話会への寄付なら政治資金規正法の量的制限違反となる可能性がある。しかし、首相への貸付金であれば法的な問題は生じない。
本紙の質問に、母親は二十四日までに回答を寄せていない。鳩山首相の事務所は、弁護士を通じ、「捜査中のためお答えを差し控えます」とコメントしている。
説明責任(笑)。