2009-11-19

介護うつ』という本の特集テレビ番組を見て鬱になった

今、日テレで『介護うつ』という本の特集をやっていた。どうやら清水由貴子さんが介護うつで自殺に追い込まれるまでのことを書いた本らしい。ただ、私はこれを最後まで見ることはなかった。見られなかった。同じくテレビの前には、私達家族介護している母親がいたから。

私の親は数年前から要介護5の状態となり、全く歩けない。動けない。そして喋れない。会話も特殊な道具を使わないと出来ない。ただ、意識ははっきりとしていて痴呆などの症状はないので、食事を食べさせてあげることも出来るし(それも嚥下の都合上苦しくなってきたが)、家族の疎通でだいたいのことがわかる。ただ、本を読む程手を動かすことも出来ないので、一日のうち多くはテレビラジオ新聞を見る(これはめくってあげる)ということになる。故に夜も寝る前の時間車椅子の上で私とテレビを見ていた。

その時に流れた『介護うつ』という本の特集。これを見たとき、非常に嫌な気分になった。何故ならそこにいるのは、その介護うつにさせるかもしれない、そしてそれがどうしようもない人なのだから。

だが、放送は始まり、いかにもな感じて話が進んでゆく。ただ、ここで不自然チャンネルを変えようものなら、本人がもっと気にするのではないかと思い、気まずく話が進んでゆく。私は再現VTRが始まる直前、比較的よく見ている『シルシルミシル』がやっていたのを思い出して、その話を振ってチャンネルを変えた。しゃぶしゃぶ映像が流れていたが、その番組は終わりかけていた。そしてすぽるとチャンネルを変えた。そして今、親を寝かせたところだが、それまで一度気まずくなったのを落ち着かせるために、いつもより寝る時間を遅らせ、15分程特集を見ることになった。そして今も自分は、最初からチャンネルを変えておけば、と後悔している。


このような経験は今までもある。同じように介護の大変さを語るニュースが流れたとき、親と同じ病気ネガティブな単語(死に至る、大変苦労する等)という言葉と共に流された時などだ。故に最近テレビ欄を見て、それ系の特集や感動番組が流れそうになると、警戒してチャンネルを変えることが多い。

もちろん、清水さんの家族を責めるものではない。介護の苦しみは相当わかる。本を出されたのもその認識を広めたいというのも理解出来る。ただ、これが『放送』という、無条件に入ってくるものになると、このような状況になり、苦しむ人もいるということだ。昔、親子でテレビを見ていてアダルトなシーンが流れて気まずい思いをしたという人は多いだろう。あれも考えてみれば望まれない情報が入ってくることで、視聴者に対してマイナスの感情を与えているのだ。そしてこれはこのように気まずいレベルではなく、落ち込ませかねないこともあるのだ。

病気で死んだ人のお涙頂戴番組が流れるというのはよくあることだが、思うにその影で同じ病気であり、現在進行中の人はどのように感じるだろうか。

たしかにこれらの放送がなされてプラスになる面もあるだろう。だからそれらをやめろ、とは言えない(内容にもよって、お涙頂戴だったりしたら否定したくなるが)。ただ、何気なく流れているそれは、誰かを傷つける可能性があるということが知って欲しいと思う。それを知って欲しい。特に『放送』という性質上、それが一番強いテレビラジオにおいては。



世の中には、『情報』を望まない人も、それで傷つく人もいる。

  • 気持ちはわかるが言ってることは滅茶苦茶。 身内が殺された人に配慮して殺人のニュースが流せなくなるし 怪我でスポーツをリタイアした人に配慮して実況も出来なくなる。 極論だけ...

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