2009-11-18

ひとが壊れてゆくさまを見た

上司であるA氏の話。年齢は50前後管理職一歩手前という役職。

今年の夏に私のいる部署にやってきた。

A氏は若かりし頃非常に優秀な人材であったそうだ。

頭も切れ、性格は温和であり、人望も厚かったそうだ。

昔を知る人誰に聞いても口をそろえる。

しかし今、私の目の前にいるA氏は

呂律も回らず、離席しては数時間不在にし、席にいても居眠りをするばかり。

時々申し訳程度に業務について質問をしてくる。

残りの時間ぼんやりと資料を目で追っているが、頭に入っているかは定かではない。

昔を知る人誰もが変貌ぶりに驚く。

どうやらバリバリと働いていた数年前、出向先の上司と折り合いが悪くなってしまい、そこから一気に変わってしまったらしいのだ。

今の部署において、彼は管理職ではないとはいえ、重要仕事も回ってくる。

取引先なんかとの打ち合わせも頻繁である。

それまで彼は畑違いの分野にいたため、勉強が必要なのだが、していないんだか理解できないんだか、会議ではろくに発言もせず、

やっぱりぼんやりと聞いているだけ。

夏を過ぎたころから、彼は自分の席を長時間空けることが多くなった。

しばらくすると遅刻することが多くなった。

そして会社を休むことが多くなった。

理由は体調不良だ。

病院に行くとか行っていたが詳細は定かではない。

このあたりから周りの人間の感情は心配から不信感へと変わってきた。


ある日、A氏にどうしても出席してもらわないと困る会議があった。

彼は部署の代表として出る必要があったのだが、初めからその役目を嫌がっていた。

別の人にしてほしいということを隠さなかった。

発言を求められてもまともな受け答えができないということをわかっていたんだと思う。

だが、A氏の上役がどうしても都合で出られず、彼はしぶしぶ出席に応じた。

しかし、彼はこれもやはり体調が悪いと言って逃げた。

多くの人が困惑したが、心のどこかではそうなることが予測できていた。私もそうだ。

それから彼は長らく会社を休んだ。

理由は「体調が悪化したため」。

誰もがこのまま休職だと思ったのだが、

彼はなんと一月後復帰したのだ。

薬を服用するようになっていた。どうやら精神安定剤やら睡眠薬のようだ。

しかし、この薬の飲み方が酷い。

おおよそ一時間おきに二、三錠まとめて飲んでいる。

私はこの手の薬を飲んだことがないからわからないが、素人目にも明らかに飲み過ぎという感じで服用している。

意識は吹っ飛んで、記憶もなく、手も震えていた。どう見てもおかしい。止めても聞こうとしない。

そしてとうとう彼は先日駅で倒れた。

病院に運ばれたようだ。

それでも今日、彼は職場にいた。

上司はこのまま休めと言っているのに、彼の強い意向により復職したらしい。

仕事なんてまともにできる状態ではないのに、何がそうさせるのか。

理由は意外な、そして簡単なところにあった。

A氏はは最近離婚したらしいのだ。

彼はお金が必要だった。

奥さんとの不和によりこうなったのか、

それともこういう状況が続いたから不和になったのかはわからない。

けども彼はわずか3カ月でここまでボロボロになってしまった。

現実から逃げるためか、薬を貪る彼を見ているとやるせなくなってくる。

おそらく今誰が止めても彼は会社に来るんだろう。

言葉は悪いが、きっと死ぬまで。

  • 嘘っぽい 手が震える副作用のある抗不安剤って? そんな副作用聞いたことないし 増田時々こんなのあるからイヤになる (打ったら消すよ 自分の日記に嘘っぽい日記のリンク置いとき...

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