2009-10-03

イエーメンは、いまや第二のアル・カィーダ基地

南北イエーメンの統一から十九年、この国は無法地帯となった

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イエーメンというのは日本人にはなじみが薄い。

紀元前伝説の「シバの女王」が治めて栄えた。イエーメン航空の機内誌は「観光の魅力いっぱい」と特集記事。古き良きアラビアの港や村々や。。。。。。典型のアラブ文化遺産が残る(筆者も行ったことがありませんが)。

しかし南北統一後もイエーメンは国土の三分の二を政府がおさめることが出来ない。

そればかりか、外国人が立ち寄れるのは首都サヌア周辺のホンの一部地域だけ。六月に外国人観光客九名が拉致され(ドイツ人女性ふたり、韓国人女性ひとりを含む)、全員がバラバラ死体発見された。

自爆テロ外国人外交施設を狙ったテロが頻発、アデン港に寄港中の米駆逐艦も襲撃を受け(2000年)、米大使館正門爆破事件(2007年)もおきた。

2004年からスンニ派政府武器を補充しつつゲリラ(「ハウシス」と呼ばれる)と闘っているが、反政府武装勢力戦車を装備しており、シーア派の過激セクトスンニ派の過激セクトが混在、しかも内戦の間隙を悠然とぬって山岳、高原地帯ではアル・カィーダの秘密軍事基地が国内のあちこちにできた。軍事訓練を重ね、テロリストの出撃拠点化している。

イエーメン南部には石油精製基地があり、対岸のソマリア近海海賊行為。国土の水涸れが凄まじく、戦争をさけ、水を求める難民が数百万。UNICEFの活動もしばしば妨害される。

イエーメン政府の正面の敵は首都サヌアを荒らすゲリラ部隊で、辺境山岳にいるアルカィーダの討伐にまで手を出す余力がない状態。

しかしあと十年でサヌアさえも水涸れ、砂漠になると予測されており、男子海外へ出稼ぎにでるか、ゲリラになるしかなく、そういえばオサマ・ビン・ラディン母親はイエーメンの女性と言われる。

米軍情報筋によればアル・カィーダはイエーメン支部とサウジアラビア支部が合併し、世界からジハードの戦士を募っているという。米軍イラクアフガニスタンにかまけている間に過激武装勢力はさっさと拠点を引っ越していたわけだ。

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  「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 

     平成21年(2009年)10月2日(金曜日

        通巻第2728号 

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