2009-07-24

佐野元春の「ザ・ソングライターズ」Vol.1 「小田和正・1」(2/3)

(1/3から) http://anond.hatelabo.jp/20090723033558

佐野:で、小田さん、ぼくね、オフコース時代からの曲、それから小田さんソロ時代の曲、ずっと聞かせていただいて、ぼくなりに、あ、この詩はいいな、と思ったものを一曲選びまして、ね、スポークンワード・バージョンメロディーなしでその詩をリーディングするっていうのを試してみたんです。

小田和正の「the flag」(アルバム個人主義』収録)の背景の説明)

小田和正の「the flag」の、佐野元春朗読

佐野:どうですか?

小田:いやあ、人の詩みたいな。ちょっと自分が書いたっていう感じがしなかったですね。不思議なもんで。

佐野:そうですか。

小田:ぼくが読まなくてよかった(笑)

佐野:そんなことないですよ。

小田:いやほんとに。

佐野:ぼくらつねに言葉音楽がついているので、音楽言葉を切り離すっていうのは普段はしないわけでね。こうして第三者が、ぼくのような他人が、詩だけ切り取って作者に見せるっていうのは、なかなか勇気のあることだったんです。しかられるんじゃないかって。

小田:いえいえいえ、すばらしかったです。てめえの詩が、ねえ、はなはだ横柄だけど、いやあ上手に読まれましたねえ(笑)

佐野:はい(笑)

(会場笑)

ゲストに同じ質問をしていく、定型質問のコーナー)

佐野:ぼくね、もうものすごく聞きたいことなんだけど…、ソングライターを志したきっかけは、なんだったのか。

小田:そもそもは音楽が好きだったっていう。自分が曲をかくようにななるなんて思わなかったわけですからね。それでも音楽やりたいっていう。たぶんその、音楽がほんっとに好きだったんですね。

佐野:影響を受けたソングライターは?

小田:それはもう数限りなくいるから…。絞れないですね。出会った音楽全て、っていう。

佐野小田さんの世代だと…、ごく一般的ですけど、ビートルズ

小田:はい、ビートルズですね。

ビートルズ「A Hard Day's Night」)

佐野:常に空気のようにあったんじゃないかっていう。

小田ビートルズ

佐野:はい。

小田ビートルズはねえ、もう何回も…、だからもうビートルズはもういいか、みたいな。今更ビートルズっていう…、おれらにはいつまでたってもビートルズがいるのね。すごいなと思うね。

佐野:一種の古典のような。

小田古典だね。すごくシンプルだし。シンプルだけどよく聞くとタダのシンプルじゃない。おれはビートルズを聞くと必ず思うことは、もちろん力はあったと思うけど、若者が中心となったっていうかなんかのグルーヴみたいのが、なんかの現象でうわーっとなってあそこに集まっちゃったんじゃないかなっていう気がするんだよね。

佐野60年代の中盤。テレビメディアなんかが一般的になりましたから、あのビートルズの持っている楽しいグルーヴが、一気にこうメディアを通じて、全世界に広まって。

小田:その、力以上っていっちゃうとちょっと語弊があるけど、その以上のものがどんどんできちゃったんじゃないかっていう。しか思えないような曲がいっぱいあるもんね。

佐野奇跡グループだよね。

小田奇跡だよね。

佐野デビューシングルについて。ヒットしたんでしたっけ?

小田:ヒットしなかったんだよこれが(笑)

佐野:あー

小田(笑)

佐野:でもやっぱり最初にかいた曲ってことで、何気ない愛着のようなものがるんじゃないですか?

小田:いや、それはね、その、どうやってかいていいかわかんないし、手がかりを何かに求めるしかないんじゃないかなって…。それで、ぼくはもうしつこく日記を書いていたんですよ。何年間ももう。休まずにかいて。そこになんかヒントはないかなっておもって。そうしてこうやって探しているうちに、ちょっと手がかりがあったんで、あこれいいんじゃないの、って。

佐野日記がひとつのヒントになったわけですね。

小田:その後もなんか日記ネタが、って、でもそれ一曲だけだったですね(笑)

佐野(笑)では、好きな言葉は?

小田:「やってみようぜ」ってのが好きなんですね。

佐野:例えば、歌詞の中で何回ももう繰り返して、どうしても使ってしまう言葉、なんていうのは、ないですか?

小田:それはもうね、とっても風好きなんですよ。風がどうしたとか。

佐野:風、多いですか(笑)

小田:風、多いですね(笑)風好きなんですよ風ね。風好きだから、「また風かよ」って言われても、ほんと平気なんだけども、まあやっぱりいろいろなんでもかんでもでてきてもあれだなと思って…。ほんとは全部風でもいいんだわ(笑)

(会場笑)

佐野:次は、映画。好きな映画は?

小田映画はね、「ローマの休日」好きですね。

佐野:ずいぶんロマンティックですね。

小田:あー(笑)

佐野:他にやりたい職業は?

小田:ちっちゃいときはほんとに野球選手になりたかったですね。

佐野:どこのファンでした?

小田ジャイアンツでしたね、やっぱり。でも、足もそんな速くないし、遠投もたいした事ないし。なんといってもやっぱりいちばん、挫折したいちばん大きな理由は硬式の野球部がなかった、っていうのが。軟式しかやったことがなかったんで、これじゃだめだろうなあ、と。

佐野:絶対やりたくない職業は?

小田音楽やっても、その、いつまでにかかなくちゃみたいなのがあるともうほんとに辛くて。まあみんなそうだと思うんですけどね。

佐野:締め切りでしょ? ぼくもヤですね。

小田:ね。連載をかかえている漫画家っていうのはね、ぼくはね、いっつも漫画見てて思うんだけど、この人毎週大変だなーと思って。

佐野:でも、小田さんは、いついつまでにかいてくださいって言われれば必ず約束を守る、って。

小田:守るんですねー(笑)

佐野:そう聞いています。

小田:ぼくはね、期限とか守らなかったことないですね。

佐野:すばらしい。

小田:守る方ですか?

佐野:ぼくはね…

小田:へへへっ、守れそうもないね(笑)

(会場笑)

佐野(笑)ぼくはね、締め切りがあるとどうしてもそれがプレシャーになっちゃって、逆にこう、なんかね、集中できなくなってしまって。だから、できたら渡すから、って。

(会場笑)

小田:そうすると、でも、ねえ、組み立てようがないよねえ。

佐野:そう、いつまでだってもビジネスに結びつかない…

小田:じゃあその、詩なり曲、作り上げて、自分としちゃイマイチだなーと思いつつも出さざるをえない、だから出した、みたいなのはある?

佐野:ない。

小田:あ、ない?

佐野アルバムの中で、12曲入れようって、で16曲くらい録って。で、アルバムに全部入れたいって言われても、この4曲は気に食わないのでアウトテイクにします、って、自分の入れたい曲だけを入れる。

小田:えらいね。

佐野:うん…。でも、後になって聞くと、そのアウトテイクになった曲がよかったりして、なんで入れなかったんだろうって。

小田:あぁー。

佐野:でも、そうだね、約束は…最初っからあんまり取りつけない。

小田:そうだよね。

佐野:はい。

小田:その方がいいよね(笑)

佐野:はい(笑)

(会場笑)

3/3ヘ続く)http://anond.hatelabo.jp/20090723033748

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