友人が結婚した。
自分はその友人とは中学時代からの付き合いで、所謂親友の部類に入る。
そんな仲のよさから余興と二次会の幹事を任せられ、4人ほどのメンバーで準備を行っていった。
準備を進める中で、参加人数や新郎・新婦の要望等、ヒアリング事項があったので、
たまに繋がっても「仕事が忙しいからまた後で連絡する。」とだけ返事があり、
それから結局向こうから連絡が来ない、ということの繰り返しになった。
仕方がないので、私たちは五里霧中で準備を進めていく。
式当日、なんとか余興・二次会をやり終え、みんなで打ち上げをしようということになった。
友人も交え、いい式だった云々という話で盛り上がる。
時間も大分過ぎた頃、急に友人がものすごい形相で自分に語りはじめた。
「俺は今、不動産で営業をやっているんだけど、はっきり言って今が買い時だ。
今買わない奴は馬鹿だ。素人だ。俺は50万値下げしてやれる権限を持ってるから買う時は俺に言え。
出来るだけ早いほうがいいぜ。俺の気が変わらないうちに。」
まぁ、ここまではまだよかった。
その後、友人は自分の家庭(自分、結婚してます)や職業(IT業界でへっぽこSEしてます)についてまで何故か非難しはじめる。
「お前の奥さんは家を絶対欲しがってる。安心させてやれよ。お前男だろ。家もなくて子供もいなくて何が結婚だよw
俺はこれから2年以内に家買って子供作るぜ?お前はそのままでいいのかよ?
まぁIT業界なんて屑みたいなところだから無理かww」
と、よく分からない挑発で、家を買わせるように話を持っていこうとする友人。
とりあえず適当な相槌でかわして、その場は解散と相成った。
あまりに異常な彼の態度から、さすがにこれはおかしいと思い席次表から彼の上司の社名でググってみた。
するとサジェストの一番目に「悪徳」と書かれていた。
脅迫や居座りを使って、年寄りなどに無理やり不動産を買わせるような企業だそうだ。
「終末稼ぎ時だから朝まで外回りしているんだ」
と話していた友人の言葉から、何故そんな時間まで外回りやっているのだろうと不思議だったことを思い出す。
なるほど、買うまで居座り続けてるから帰れなかったのか。
今、親友として彼に出来ることは何かを己に問いかけてみる。
「信じて待つしかない。」
引篭もりがちだった私を、変わらず信じて待ってくれていた友人のように。
つまり、何もしないってことですね。