それを革命するほどの強さもなく――
おのれもまた弱者のひとりでしかないことを彼は理解し、
生きている。
いっそ究極の愚者になりたい……
お安い救済に溺れてしまえる阿呆でありたい……
義妹との淫靡な関係。
自殺した義姉がソファに埋もれて笑う『赤い部屋』。
カレイドスコープ的混乱のなかに、真市はおのれをすりつぶしていく。
やがて真市は、弱者たちが集い暮らす『廃墟コミュニティ』へと辿りつく。
草に埋もれた道しるべを探し。
きしむ鉄橋を歩み。
長いトンネルを抜け。
その廃墟はひっそりと息づいていた。
真市は救済のかけらを見出す。
だが、彼らはやがて『新興宗教』と名づけられ、
糾弾され、侵略され、蹂躙される事となる。
あくまでも弱者を否定するのなら。
ならば世界の条理を終わらせてしまおうじゃないか。
真市たちのテロルは何者に対して向けられるのか。
運命にか?
カミサマにか?
あるいは自分自身に――その銃口は向けられるのかもしれない。