2009-06-16

 年を取ると耳が遠くなるという話。

 本質的に聴力が落ちている場合と、耳垢によって聞こえにくくなっている場合とがある。

 症例としては、耳垢の固まりによって耳道が塞がれてしまう耳垢栓塞(じこうせんそく)があるが、これ以外にも、鼓膜の表面と耳道の表面とを耳垢がつなげてしまい、結果的に鼓膜の振動が阻害されて聞こえにくくなる場合や、それが慢性化して鼓膜と耳道の接面にリング状に耳垢が固着するという場合がある。前者の場合には、大あくびをすると一時的に外れて改善する事があるが、残っている耳垢が再び固着を発生させてしまう。後者の症状は若い人にはめったに見られない。加齢によって発生する耳垢の増加と脂性と、通常の耳掃除では取り除けない場所という事で、発生すると推測されている。

 こういった症状になった場合には、耳鼻科に行って、耳鏡という道具で状況を観察し、オリーブオイルを垂らして耳垢をふやかしてピンセットで取り除いたり、吸引したりという処置を行う。

 しかし、日常の生活の中でも、耳を清潔に保つ方法はある。

 石鹸の泡を作り、綿棒等で泡だけを耳道から奥へと送りこみ、鼓膜の表面まで泡を届けて、ふやかし、耳垢を剥離させやすくする。次に、お湯で洗い流すのであるが、これも、微温湯でふやけて膨らんだ綿棒を使って、今度は鼓膜の表面までお湯を送りこんで、洗い流す。この時、綿棒が奥に入り過ぎないように、指で持つ場所を決めて、絶対に突っ込みすぎないという配慮が必要であるし、水の重みで鼓膜を破らないようにしなければならない。耳穴を真上にして、耳たぶに微温湯を貯め、綿棒をトイレの詰まりを治す吸引カップ(ラバーカップ、通水カップ)のように使うという事をやると、鼓膜が破れる。耳の下にタオルを当て、綿棒に含ませた水分だけを流し込んで排出するという地味な操作を繰り返すのである。湯船につかって100数える時にやるのが、お勧めである。

 入浴の度にこの洗浄を行うと、症状が軽ければ数回で、多少重くても、数十回で、鼓膜表面は清浄になり、耳道に水が入ってもすぐに水が切れる状態になり、高音の聞き取り能力等が回復する。これでも回復しない場合には、本質的に聴力が落ちているか、別の理由があって聴力が落ちているという事になる。

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