2009-06-11

インターネット世論中国独裁政権の脅威となった。

共産党員の腐敗と荒淫に抵抗したヒロイン登場!映画にでもできそうだ。

いささか旧聞だが、その事件は5月10日夜におきた。

中国湖北省巴東県政府の幹部3人が、地元の「雄風賓館」でカラオケ楽しみ、飲んだ勢いか女性従業員の玉嬌に「性的サービスをするよう」要求した。

ところが拒否されたため三人は集団で強姦し、玉嬌が強く抵抗、所持していたナイフで、主犯格を殺害し、もう一人の幹部に怪我を負わせた。

殺害後、自ら警察に通報し自首警察彼女逮捕して精神病院に収監した。ここまではよくある話、中国では日常茶飯、たいがいは泣き寝入りである。

ネット時代、共産党末端の横暴は民衆から意外な手段での報復を受ける。

地元警察精神病院に収監されていた玉嬌に暴行を加え、虐待したほか、玉嬌の母親を脅して、「死者(貴大)の精液が付着した彼女の下着を処分せよ」と命じた。さらに、無料弁護を申し出た弁護士の解任を強要した。

あまりの横暴を見かねた匿名氏がネットに書き込みを始める。

するとあっという間に中国いたるところに伝わった。共産党情報操作の網の目をくぐることがあるのだ。

およそ二億人の署名が二週間で集まり、殺人犯の玉嬌を支援した。彼女は一躍、ネット上のヒロインになった。彼女モデルの「巴東烈女伝」がネット網に流れると熱狂的に読まれ、若い男性を中心としたファン・クラブも登場した。

それらの多くは玉嬌を早く釈放するよう当局に要請した。

▲民衆の抗議がネット空間でなされ、それが成功した。

北京言語大学日学文研究所の高旭東所長が代理弁護を要求したおりの手紙も公開された。

高は次のように言った。

孟子曰く「富貴も淫する能わず、貧賎も移す能わず、威武も屈するあたわず、これ大丈夫という(富貴でも不正をせず、貧しくても卑屈になることなく、威勢な武力に屈することはない。これは立派な行いである。玉嬌さんの行為は中華民族精神である。事件を歪曲報道する新華社真実を語れ)」。

結果、当局は玉嬌さんを殺人罪起訴しようと準備したが、世論の高まりの前に、書類送検だけにとどめた。

こうしてインターネット世論独裁政権の脅威となった。

これまでの暴動やデモ農地を収奪された農民が政府ビルに詰めかけ、投石し、建物破壊し、パトカーを燃やすなど群衆行動が多かったが、近年は共産党幹部の不正や腐敗を批判する行動が目立つようになりつつある。

インターネット普及以後の新現象である。

そういえば、08年に上海公安警察六人が、たった一人の若者に刺殺された事件でも、ネット世論は圧倒的に刺殺犯を支援し、「烈士」「義賊」と賞賛の嵐だった。

ネットは西側の政治を大きく変えて、オバマ誕生を生んだが、中国でも次の段階へ至る。当局はあらゆるパソコンモニター化を制度化しつつあるが、新技術の進展のスピードには追いつけないだろう。

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