2009-02-11

解雇規制撤廃雇用流動化を促進するか?

雇用流動化で失業率は下がる

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/44a168f4f49944058f457302eef66e83

雇用流動化で失業率は下がる」という命題自体に間違いはないと思うが、雇用規制撤廃雇用流動化を促進するかというとあまり大きな効果はない。

のびー老師は自説に組しない説を「感情論w」というが、おいらには「悪いモデル屋」にしかのびー老師が見えない。

「ある経営者が、正社員を雇うか派遣にするか迷っているとする」仮定の話にしても、雇用の口そのものは一つで増えているわけではない。それを論じるなら作業量の増加に伴う雇用の決定を具体的に例としてあげて欲しいわけ。たとえばあるA社は業務を拡大するために人を雇うかどうか決定せねばならない。その前提条件として雇用コスト雇用によって生じる利益を考える。というなら分かる。のびー老師の説で違和感を感じるのは、この前提で考えるとき解雇規制によって生じるコストっていうのが実際どれだけ考慮されているのかってこと。普通に考えて生産性給料のみで判断するでしょってこと。正社員が忌諱されているのはそれに伴う社会保険とかの手続きのめんどくささと、それと給料を含めての費用の高さだと思う。

翻って、現状の生産業の雇用については、供給>需要なので解雇規制の撤廃が行われた場合、企業雇用コスト社会リスクに代えて外部に出すだけで終わる。介護外食に人が行かないのは労働条件が悪すぎるだけであって、労働条件がよくなれば供給が増えるのは「モデル屋」であるなら分かりそうなもんなのに。

資本家から搾取して労働者に再分配しても、パイ全体の大きさは変わらない(税の累進性を上げると、インセンティブの低下でGDPは下がる)。」ってのもよく言われるけど、10万人が1000円の贅沢するのと、一人のお金持ちが1億の買い物するのもGDPとしては同じとして、どちらの実行可能性が高いかは分かるはず。とくにのびー老師は輸出に頼る製造業への偏重を悪いものとして扱っていたわけで、内需を増やそうとすれば個人消費を増やして企業設備投資促す方が方法としてはコストかからないのにその点において矛盾しないか?

セーフティーネットもきちんと整備しないまま、経済明るい見通しも立たないまま解雇規制の撤廃したら、当然普通の人はリスクヘッジして個人消費が落ちるのがわかってないのかなぁ。んな訳ないと思うけど。よしんば景気がよくなってからやるとしても「派遣切り」がこういうふうにセンセーションに取り上げられてしまっては消費税並みに個人消費を冷やす原因にしかならないと思うんだけどさ。

とはいえ「雇用流動化で失業率は下がる」のは間違いないので、あとはどうやって雇用流動化を促進していくかなんだけど。これは「自発的に転職する人」を増やすしかないと思う。施策としては、

1.雇用保険の給付額の増加と期間の延長、および適用の緩和

2.職業訓練についての補助の拡大(90%ぐらい補填して欲しい)。もっと言うなら職業訓練無料

3.年齢、性別などによる雇用差別の撤廃

4.教育無料

かなと思う。3は難しいけどね。とにかく一旦職業訓練を施す期間をもてるようにしないと。

これが出来るなら、消費税が上がってもいいと思う。

とにかく「安心感」を担保できないとダメな時期が来てると思う。

  • 「ある経営者が、正社員を雇うか派遣にするか迷っているとする」仮定の話にしても、 なんだかこういうミクロの意思決定や仮説を、どこまで延長してもいいのかというのことなんだ...

  • 自発的に転職する人を増やすよう誘導するというのも本末転倒だと思うが。雇用の流動性ってより労働力の必要な分野にシフトさせやすくするためのものであって闇雲に転職者を増やせ...

    • 頑張って基地外じみたコメント書き続けてればそのうち載るよ。 サヨ系よりウヨ系おすすめ。

    • 流動性を高める方法の一つとして、労働力を必要とする分野がよりよい待遇を用意する、というやり方もあるんだよね。つーか、過去においてはこっちが主流だったわけで。ヘッドハン...

  • 俺も雇用流動化推進派なんだけど、「解雇だけしやすくすれば全て解決」派の人は個人消費とかそういうのはモデルにそもそも入ってないんじゃないかなと思うよ。 外需が無限にあるこ...

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