サブプライムローンの破綻から始まった不況は十年後にピークに達した。世界の多くの地域で紛争が勃発し、難民がかつてないペースで発生するようになった。深刻な難民問題が世界の懸案事項となる中、積極的に難民の受け入れ先となった国がある。難民の受け入れ先として以前は誰も想像しなかった日本である。
日本が難民を受け入れるという法律を制定した訳ではない。サブプライムローンが破綻し不況が深刻化してきた頃、日本では国籍法が改正された。その改正された国籍法が難民を受け入れる大きな原動力となったのだ。法案成立時はDNA鑑定を行うべきという世論もあったのだが日本は元々単一民族国家ではないため、DNA鑑定を取り入れるという案は一笑に付された。また、この時の政権は支持率が急落しており、政局がどう動くかのみがクローズアップされ、国籍法の改正はマスコミに注目されることはおろか、報道され世論が盛り上がりを見せる事も無かった。ブクマ数はマンナンライフの『蒟蒻畑』問題を大きく下回っていた。こうして国籍法の改正により、事実上、日本人男性が認知さえすれば国籍が取得できるという状態が出来上がったのである。
難民が出た国の日本在住の二世日本人は、こぞって親の母国の難民を認知した。認知した子供の数が100人を越える二世も日本ではポピュラーな存在となった。
中でも、とある国の認知された子供の数は、爆発的な増加だった。しかも認知されるのは難民ではなかった。その国は強力な中央集権体制であり、紛争はことごとく武力で鎮圧されていたのだ。他の国の子供の認知はその国の二世が多く行っていたのに対し、とある国の子供の認知は、二世ではない日本人が積極的に行っていたのである。何故、とある国の子供の認知数が急激に、しかも二世ではない日本人の認知で増えていたのか。
とある国は、強力な資金力を背景に日本人に自国の子供を認知するように仕向けていたのだ。インターネットには「里親を探しています」の広告が連日のように踊った。「里親」は偽装認知を請け負う「隠語」であった。一人の認知に付き数十万円の報酬を、とある国の組織は日本人に支払っていた。そして、認知した後は認知した子供を組織で育てるのだ。認知した人が育てる必要はない。認知した子供の顔すら知らないという「里親」がほとんどだった。
こうして過疎化が進む市町村に、とある国の子供がどんどん増加した。その子供は程なくして成人し、選挙権を得た。市町村レベルでとある国の子供たちの意見は無視できない勢力となった。彼らは元来の日本人と違い、選挙権は必ず行使し、政治にも積極的だった。元来の日本よりも日本の将来を考えていた。
日本では元来の日本人の少子化はますます進み、難民が増え、とある国の子供たちが成人し、彼らが最も著しく増えた。もちろん国会議員にも彼らが増えた。
以前の日本では、外国人参政権の賛否が大きな問題となっていた。さすがに政治に疎い元来の日本人も、外国人の参政権だけには頑なに反対していた。だが、政治的空白をついて成立した穴だらけの国籍法の改正は、結果的に多くの外国人に参政権を与えるものとなった。
とある国を中心として認知された子供たちは、以前外国人と言われていた人々の地位向上のために一丸となって結束し、多くの法案を国会に提出した。そしてついに、外国人が悲願であった参政権を得る事になった。彼らは、最終的に自分たちの日本を強力にする事を望んでいた。
三十年後。
本日のクソバカ
国籍法のSS作ったけど、増田では不評だった。 http://anond.hatelabo.jp/20081217185619
自分たちの思うままの国を作ったのに中央集権国家に併合しようとするのか…その理由が不明すぎる
もの書き志望です。褒めてもらってちょっとてれてます。 ラノベ文体は好きじゃないんだけど、まだ自分の文体というものが固まっていなくてどうすればいいのか試行錯誤しています。 ...
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