2008-08-11

GoogleがStreet Viewを「無料」で公開する理由

Google Street View の閲覧者は監視されてるだろうな。というお話

ストリートビューの真の恐ろしさは、自分ちの外観がばっちり撮られることよりも、各人がそれぞれに思い入れのある土地をバーチャルに「歩いて」みたことが、全てGoogleに筒抜けになってしまうこと

この辺の指摘はかなり鋭いのだが、まだあまり話題になっていないのであえて指摘してみる。Googleが莫大な手間暇をかけたStreet Viewを、あえて無料で公開している理由にかんしてだ。わかってる人はとっくにわかってることではあるけど。

Googleは、あなたが、どこの人か、それを知りたがっているのだ。

Street Viewを最初に使用した人は、高い確率で自宅およびその周辺を見て回る。Googleからは、あなたがどこに住んでいる人か丸わかりなのだ。Googleは各種のCookieGoogle Accountを使用して、ユーザーを高い精度で、かつ長期にわたって識別していることはよく知られている。Street Viewは、それらの情報と自宅(あるいは職場)の位置を結びつけることができるようになる。

これにより、たとえばGoogle Analyticsなどが大きな恩恵を受ける。現在のAnalyticsは、アクセスしている人の地域をIPアドレスで国や県単位で識別して統計を取っている。しかし、IPアドレス使用している限り、これ以上の精度を出すことは不可能だ。しかし、Street View使用したことがあるユーザーについては、市町村やそれ以上の細かい単位で居住地域を推測することができる。

また、Googleの本業は「インターネット検索会社」ではなく「インターネット広告会社」であることを忘れてはいけない。

いままでのGoogleでは、全国規模で業務を展開している企業でないと、顧客にしにくいという問題があった。AmazonSONYからは広告がとれても、「吉祥寺でやってるイタリアンのお店」とかからは広告を取るのが難しかった。

このような地域で営業している店がGoogle広告を出そうとしたとすれば、たとえば「吉祥寺 パスタ」で検索したユーザーにAdWordで広告を見せるとかの工夫が必要となり、広告を出す側にもスキルや運が必要となってしまう。

だがStreet Viewがあれば、この状況が劇的に変わる。「パスタ」で検索したユーザーで、「Street View吉祥寺周辺を表示してまわったことがあるユーザー」に広告を出す、というようなことができるようになるのだ。広告の効果は大幅に上がるだろう。

特定の地域内で営業している企業から広告をとるために、Googleは、あなたがどこに住んでいるのか、どこを活動拠点としているかの情報が欲しくて仕方がないのだ。

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