2008-04-04

結論は正しいが過程が間違ってる

内田樹さんのプリンスホテルの議論(http://blog.tatsuru.com/2008/04/03_1313.php)だが、http://anond.hatelabo.jp/20080404073011さんの議論は、結論は正しいが過程が間違っていると思う。

http://anond.hatelabo.jp/20080404073011さんによる内田さんの議論の再構成はこういうものだ。つまり、内田さんが

A. ルワンダのような極限状態で人助けをするには超人的な勇気が必要で、それを要求するのは無法。

B. プリンスホテルが当時のルワンダにあれば、躊躇いなく客を政府軍に引き渡した。

C. 平時に卑劣な人は極限状態でも卑劣

と述べていることから、以下のように組み立てる。

(1) 極限状態で客を助けないのは、卑劣ではない(Aから)

(2) プリンスホテルは、極限状態で客を助けないだろう。(B)

(3) 極限状態で卑劣でない人は、平時でも卑劣ではない。(Cの対偶

(4) したがって、プリンスホテルは平時でも卑劣ではない。

この再構成がおかしいのは、Aの翻訳である(1)だ。Aが述べているのは「ある人が極限状態で客を助けないからといって、その人が卑怯だとはいえない」ということである。つまり

(1') 極限状態で客を助けない人の中には、卑怯な人もいるかもしれないが、そうでない人もいる

ということ。したがって(4)のような結論は出てこない。

(「私は別にこのような超人的な勇気グランドプリンスホテル新高輪のマネージャーも持つべきだというような無法なことは申し上げない。」とあるので、本当に内田さんが「助けないなら卑怯」といっているかどうかには疑問があるが、一応議論の流れに乗っておく)

しかし(1')と(2)を組み合わせると、

(*) プリンスホテルは、卑怯かもしれないが、そうでないかもしれない。

という命題が出てくる。おそらく内田さんはこういうことを言いたいわけではないだろうが、これは内田さんの議論がちょっとずさんだから。というのは、内田さんは次のようなことを書いているが

もしグランドプリンスホテル新高輪のマネージャー内戦時代のルワンダホテルマネージャーをしていたら、彼はためらうことなくツチ族顧客全員を政府軍に差し出しただろうということである。

...

だが、私の経験が教えるのは、平時に卑劣なふるまいができる人々は、軍国主義の時代や恐怖政治の時代にも同じ種類のふるまいを(もっと葛藤なしに)できるということである。

これは結局

D. ツチ族顧客全員を政府軍に差し出すことは卑怯/卑劣である。

ということであって、(1')と矛盾してしまう。ということで、わたしはhttp://anond.hatelabo.jp/20080404073011さんの結論

この人ほんとに学者

には同意してしまうのである。

たぶん内田さんがやるべきだったのは、戦時中であればプリンスホテル中の人がやりそうな------しかしそれをしないには超人的な勇気を必要としないような------卑怯なこと(しかし、彼らはそんなことは人道上しないといいそうなこと)の例を挙げることで、そうすると、プリンスホテル中の人がいかにひどいかと言うことを描写できたのだが、例を出すのをケチってしまったので、こんなことになってしまったのである。

記事への反応 -
  • ここまで酷い論理展開はさすがにありえん

    内田樹教授の「誰か教えて」というエントリーについて。 http://blog.tatsuru.com/2008/04/03_1313.php いくらなんでもこの論理展開はひどい。一読しただけで矛盾が見えるのはいくらなんでも稚拙...

    • 結論は正しいが過程が間違ってる

      内田樹さんのプリンスホテルの議論だが、http://anond.hatelabo.jp/20080404073011さんの議論は、結論は正しいが過程が間違っていると思う。 http://anond.hatelabo.jp/20080404073011さんによる内田さんの議...

    • http://anond.hatelabo.jp/20080404073011

      ルワンダのような極限状態で人助けをするには超人的な勇気が必要なので、そこまでは要求しない。 しかし、平時の日本においてさえ、プリンスホテルは躊躇いなく客を追い出した。 な...

    • 責任転嫁も大概にしておけ

      http://anond.hatelabo.jp/20080404073011 の続きで、内田樹教授のプリンスホテル批判について。 http://blog.tatsuru.com/2008/04/03_1313.php プリンスホテルの例にしても、靖国の映画の件にしても、言論の...

      • http://anond.hatelabo.jp/20080404081015

        声ばかり大きくておつむの小さい国粋主義者のせいで日本全体の言論の自由が脅かされているという問題をどう解決するか、だ。 国粋主義者をブロガーに置き換えていい時代だろう。 ...

      • Re:責任転嫁も大概にしておけ (ついでにデリヘルとか余計な話も

        言い分も多少わからなくないけど。 内田樹さんの文章に興味を惹かれたのは、ルワンダの支配人の行動の元となった考え方が身近な日本の問題と比較できるかもしれないという点だった...

      • http://anond.hatelabo.jp/20080404081015

        「言論の自由メモ」 内田先生の論理がアレなのはいつものことなのでどうでもいい。 が、言論の自由を守らないと民主主義が崩壊するので死ぬ気で守りましょう。 街宣車が軍歌を鳴らし...

      • 力には責任を求めるべきである

        目に付いたんで書いておこう。 なお、初めに断っておくが、以下はプリンスホテルの対応の是非を述べたものではない。プリンスホテルの対応の是非において営利団体とか企業である事...

        • http://anond.hatelabo.jp/20080410103744

          大きな財力や権力、発言力を持つ人物が、安易な発言や行動をとれば批判される。 ネット自警団というのがいましてね、随分暴れていたんですよ。責任責任とか追求追求とか説明説明...

    • http://anond.hatelabo.jp/20080404073011

      A. ルワンダのような極限状態で人助けをするには超人的な勇気が必要で、それを要求するのは無法。 Aの解釈が変。「このような超人的な勇気を持つべきだとは言わない」ということは...

    • http://anond.hatelabo.jp/20080404073011

      むしろ、ツチ族=受験生、政府軍=日教組と考えれば、プリンスはホテルマンとしての職務と全うしたと言えるだろう。

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