実際に現代の会社には明確な身分制度(カースト制度)が残っており、このドラマではこの身分制度に胡坐をかいている正社員たちを強烈に風刺している。ドラマの中での身分制度は、正社員と派遣であるが、実際には総合職と一般職だとか親会社と子会社だとか、元請と下請けだとか同じような身分制度はいたるところにある。会社によっては本社様と現場の工場とか同じ正社員でもキャリアとノンキャリアなんてのもある。
今週(2/21)のドラマの中では、この身分を飛び越える行為に対してなかなか面白い発言があった。
「派遣は企画なんて立ててはいけない。企画を立てるという仕事は派遣の仕事ではない。」
面白い!この論理でいくと、現場は企画や提案をしていけなくなるし、親会社(持ち株会社)の社員は子会社の社員よりも必ず優秀という論理になる。
そもそも通常の実力主義の環境では、役割は能力に応じて割り当てられるが、こういった先に身分制度ありきの環境においては、役割は身分に応じて割り振りをされるわけで能力に応じて役割が割り振られるわけではない。したがってこうした身分制度の元では、役割の上下差(役割に上下があるかどうかはいったん置くがドラマではそうあるように描かれていた)と能力の上下差は比例しないし、ましてや個人の存在価値とはぜんぜん相関しない。
このようにちょっと考えればおかしいことをいっているいうのはすぐにわかりそうなものだが、身分制度にどっぷりとつかって、それが当然と思っている人たちには「身分=役割=人間の価値」という勘違いからなかなか抜け出せないようだ。
その実、実力主義であるからには「上司は部下よりもすべてにおいて優れていなければならない」と言わねばならないのにそうは言わない甘さが彼らにはある、これもまたいとおかし。