2020-08-31

夏の夜

夜、世界眠るように、静かな虫の音と蚊帳のとばりに包まれる。昭和生まれ扇風機が送る、ゆるやかな風がわたしの頬を撫でて、通っていく。その風は方向を変え、次は黄色と緑をあしらった風鈴を叩く。チリン、チリン、チリン。かりんかりんかりん。風は薄いガラスの砕けてしまいそうな危うい音を叩く。それはどうして涼しく、気持ちいいのだろう。氷の冷たさなのだろうか、それともスイカを冷やす水の、きらきらとしたせせらぎなのだろうか。

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