建物にはネズミよけの猫がいたが、ネズミは慣れたもので、ときどき猫の寝床で見つかるサンマの干物を頂戴することもあった。
猫はときどきサンマの干物を貰ったり、くすねてきたりしていたからだ。
ある日、ネズミはタラが食べたいと思った。でも市場の人間は自分には危ないし大きな魚を運ぶこともできない。
ところが、そこで閃いた。猫がタラを持って来るよう仕向ければいいんだ!
市場に入ると人に見つからないよう、でも猫には見つかるようにして、猫に自分を追いかけさせた。
そして苦心惨憺しながらも、どうやら猫をタラの干物の箱の近くにうまくおびき寄せた。どうだいこの見事なタラ。