交通遺児として本当に複雑な気持ちであったが、とうとう社会の圧力に負けて運転免許証を取ってしまった。
ところが取ってしまったらその圧力は霧が晴れるように去ってしまい、自分の手元には使い道の無いカード一枚だけが残ってしまった。
自分で車を運転するはずも無く、訳の分からない罪悪感に襲われて免許証を下駄箱に押し込み、見ないようにしている。
しかしそれで全く使わないのも「無駄金を使ったんじゃないか」とまた罪悪感に襲われる無限ループ。
住基カードを身分証として出す度に「俺はこれを使えば良かったんだ」と圧力に負けた自分を責めてしまう。
俺は一生車で幸せになれる訳がないとわかっていたのに。
数年間ほっとけば期限切れで失効するじゃん。