眠たくてしょうがなかった。
一度は掴みかけた謎を手のひらからこぼしてしまったことにはそんなに悔やむべくところはない。
そもそもがこの塔の最果てに何かがあると想定すること自体間違っているという可能性もあるのだから。
たとえ、肉と血を機械にまでして何かを守っているように彼らが見えるからといって、機械である以上、何も考えてないのかもしれない。
彼らが大切そうに格納しているのが、虚ろな遺物ではない保証などないのだ。だから別に悔しさも口惜しさも特に無い。
ただアイツは絶対怒るだろうな。こうして監禁されていても、彼女がいたならば脱出の糸口を探す努力を惜しまないだろうし、たぶんこの作戦の続行を主張しさえするだろう。
この伽藍の中、おそらく数週間は過ぎている。人でなしである自分は食物を恋しがることはないが、アイツの嫌味は少しは味わいたかった。