2009-09-11

分裂病の家族についての論文を読んでいると、「血まつり」という言葉が出てくる。

これは、家族の他のメンバーは分裂病にならないのに、その子だけが分裂病になったのはなぜか、という問いに対しての答えである。

この「血まつり」は決して分裂病についてばかり言えることではないであろう。偏頭痛うつ病についても同じではなかろうか。

家族の強い連帯」といい、「われわれは皆一緒」といい、「わが家のおきて」といい、実はそれらはずるい人間が他人を利用して自分を守ろうとしているだけのことであろう。

そこにいるのは、皆エゴイストで卑怯者だけであった。

偏頭痛にしろ、うつ病にしろ、それらのエゴイスト達がうまくやっていくために「いけにえ」にされた人達にすぎないのではないか。

「血まつり」や「いけにえ」とは、肉体的には昔のことである。

しかし、心理的には現代もなお、いろいろなところでおこなわれていることを決して忘れてはならない。

そして、肉体的な「血まつり」や「いけにえ」よりもさらに恐ろしいことは、自分エゴの安泰のために子供家族をいけにえにしながら、

それらの人達は、自分たちは立派な人間と思っていることである。

自分子供家族を肉体的にいけにえにした人は、そのことを知っている。しかし、精神的、心理的に他人をいけにえにした人は、そのことを意識していない。

恐ろしいことである。ある意味中世流行したペストより恐ろしい。国民病といわれた結核よりも恐ろしい。

加藤諦三

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