はてなキーワード: 郵便局とは
吉田さんに手紙を書こう。吉田さんの字をほめたら、あなたの字がみてみたいと言われた。
それで舞い上がってしまったのだ。深く考える前に住所を教えてくださいと言ってしまった。
手紙を書くのなんて久しぶりで、いそいそと封をして、吉田さんの住所を左に、私のを右に書く。
それらが左右に並んでいると、結構近所なのだと知った。
ひきだしを開けて切手を探す。見当たらない。仕方がない。最後に切手を貼ったのがいつなのか思いだせないくらいなのだ。
最寄りの郵便局まで行けばいい。そうだ、記念切手を買おう。最初の1枚を吉田さんのために使って、うまくすると全部使いきれるかもしれない。
おだやかで、何の木かは知らないが小さな花をつけたところに鳥が止まっている。
そうしていると、前方にはもう赤いポストがみえる。
すぐそこですよ、ちゃんと届けてください、といきおいをつけて投函する。
吉田さんから返事をもらう。
××さんこんにちは。お手紙ありがとう。××さんの字も私は素敵だと思いました。
はねが少し短いことや、あるところは伸ばしすぎているようなところ、人間があらわれているようで微笑んでしまいました。
ところで、切手を貼るのを忘れましたね。でも郵便屋さんはスタンプを押して私のところへ届けてくれました。
ひとの優しさは捨てたものではないですね。
と、このように市内での事例があるのだが、サンプルが少なすぎて有為でない。
夜半までかかるかもしれない打ち合わせが客の都合で延期になり、スケジュールもない夕方は不思議な空白になった。仲間の事務所に立寄って馬鹿騒ぎでもするかとも思ったが倦怠感に負けた。タクシーも使わず春の夕日に引かれるように青山から渋谷まで学生時代のことを思い出しながら歩いた。宮益坂を下り郵便局の前で出し忘れた書類を思い出し立ち止まると、痩せた中年の女がKさん?と僕に声をかけてきた。灰色の服で大学でフェミニズムでも教えていそうなショートヘアーの女。すみません、思い出せなくてと答えると、以前青山の事務所で一緒に働いていたNです、覚えてますか?と妙に明るい声で答えた。大学を出て数年後派遣のように通っていた事務所に、バイトをしていた青学の女の子が一人いた。その女だろう。飲み会でふざけてくどいたこともあった。名前は忘れた。
思い出したよ。変わらないねと僕は言った。彼女は嬉しそうに笑ったが僕は嘘をついていた。20年して変わらない女はいない。顔の輪郭や雰囲気は同じだし歳の割に若々しくもあるのだが、それでもN子は水気の失せた中年の女だ。閉経を待つ女。
Kさんも変わらないわとN子は言った。そんなはずはない。N子は記憶を見ているのだろう。そんな会話が途切れた時、僕から誘った。時間があるならお茶でも飲んで行きますか? 今晩暇なんだけど。そう言って「今晩」という言葉にバツの悪い思いがした。N子はええもちろんと嬉しそうに答えた。中年になると女も男もどうして恥ずかしげもなく嬉しそうな表情を出すのだろう。
食事をした。インド料理。美味しいとN子は学生のような声を上げた。あの時僕はこの子をくどいたのだけど結局だめだった。理由は忘れたが、その明るさに萎えたのではなかったか。明るくて幸せそうな女の子に惹かれなかった。だが年月は女を不幸にする。
食事が終わり渋谷駅の雑踏で別れようとする時、その気配を察したかのようにN子は子供のように僕に抱きついた。僕は彼女の頭を抱き、そこに僕の頭を寄せた。しばらくじっとしていた。知り合いに見られても奥さんと仲良いですねくらいにしか思われないだろう。N子は泣いているかもしれない。両手で耳脇を掴んだまま頭を離し彼女の顔を見た。皺を深めながら微笑んでいた。飲んでく?と聞くと彼女は黙って少女のように頷いた。
少し飲み、それからホテルに入った。若者で混み出すラブホテルは避けた。部屋に入ると彼女はすっと部屋を薄明かりにしてシャワーを浴びに行った。いつもそうするかのように。
裸のN子は痩せていた。乳房は枯れて乳首だけが掌に縄の結び目のように触れた。擦るように転がし回すとN子は呻いた。首から耳へ、公園に放たれた犬のようにキスした。絡みつくN子を離し、腋から臍の回りを舐め進め、下腹に盲腸の跡のような傷を見つけて舌と止めた。N子はそれを察知したように身体を震わせた。秘所へは大腿から舐め上げた。N子は脚を開こうとしたが、僕はその両脚を腕で抱いて束ね、ぴったりと閉じさせた。そのまま恥毛に隠れた淵に舌を差し込み性器の割れ目の先に潜むクリトリスを探り始めた。N子は恥丘を突き出すように弓なりになった。