2016-05-27

鬼なんて来ない

「鬼が来る」

そう言うと、我が子は消え入りそうな声で「嫌だ…」とつぶやき、今にも泣き出しそうな表情で私の言うことを聞くようになる。

私はそんな我が子を笑顔で称える。

心のスイッチが切り替わる寸前、私はいつも真剣に我が子の目を見て言う。

「言うことを聞かないと鬼が来るよ」

すると我が子は従う。


もう私も気づいている。

我が子は鬼に怯えているのではない。

私に怯えている。

私の心のスイッチが、鬼に切り替わるのを恐れているのだ。


我が子は知っている。

「鬼が来る」

いや、鬼は来ない。その代わり、私が鬼になる。




こんな子育ては間違っている。

力で押さえつけているに等しい。

嘘までついて我が子を押さえつけようとする私。

嘘を見透かしながらも私に怯える我が子。

私ではなく、架空の誰かが怒るんだというニュアンスも我ながら卑怯だ。


どうしたらいいだろう。

  • 子どもは学習する。 全ての人間は鬼になる可能性がある・・・と。 親でさえそうなんだから、血の繋がらない他人なんてもっと怖い鬼になるかもしれない。 鬼の恐怖から逃れるのはど...

  • 間違ってなくない? 本気でぶん殴ったりしない限りは

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