2013-10-21

3月6日生まれる

苦しく、すぐに死んでしまうかもしれなかった彼は小説を書き始めた。

顔のない男がユニクロへ行って、殺されてしまった。シーツの中でもがき苦しむが、彼の声は届かなかった。

試着室の左、奥から二番目の密室では、彼を振った女と僕が色めこうとしていた。チェーンソーの稼働する音が男の高笑いと共に聞こえてきた。

彼は唇をわなわな震わせて、悲鳴を上げていた。びちょびちょびちょ。何かの飛び散る音を聞いた気がした。

グレイ。男の名はグレイ。彼はまだ4つになったばかりだった。

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